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19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
疑問も残るが一読の価値あり,
By 北国の三郎 (北海道札幌市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: なぜ、国際教養大学で人材は育つのか (祥伝社黄金文庫) (文庫)
秋田の新設の公立大学でありながら高い就職率を誇り、入学偏差値も鰻登りの国際教養大学について、学長が多少の自慢も交えながら説明している本です。実用に耐えうる外国語教育、教養教育の再評価、24時間利用可能な図書館などの施設、留学の義務化、単位認定の厳格化など大学教育を考える上でとても考えさせられるし、自分の学生時代を考えるとうらやましくもなりました。特に教養教育を重視する姿勢は、大学においても就職に直結するような知識ばかりを短絡的に求める嫌いなしとは言えない最近の状況に対して、広く教養を授け、人格を陶冶しようとするもので共感できました。 ただ他方で、全ての授業を英語で実施する(日本語の授業を全く実施しない)点については、明治維新期に右も左もわからない中で欧米の言語を読み解き、数十年・百数十年を経て自分たちの言語(日本語)で書物を書き、授業をできるまでになった学問的蓄積を全く顧みないようで少々釈然としないし、また原則として全教員を任期制の下におくことに疑問を感じていない様子なのにも賛成できません。特に後者については、本文の中でも文科次官に褒められた話が出てきていて、実際にも文科省の方針に合致するものだろうと思いますが、詰まるところ教員の立場を不安定化して大学(執行部)に、ひいては文科省に対して従順な人間しか残れないのではないか(実際、他の大学では文科省が大学教員の任期制導入を強硬に推進し始めてからこれに起因する不当な雇止めも多発し、訴訟になるケースも珍しくありません)、さらに心配なのは3年という短い期間を区切ってしまって、教育面はともかく研究面で落ち着いて結果が残せるのか疑問が残ります。本の主題が「なぜ、人材は育つか」ですから、教育面にスポットライトが当たっているのは当然としても、大学である以上、研究がどうなっているのかも気になります。どうも読み進んでいくと教員に対する評価も教育がメインとなり、研究が二の次の感が否めません。もしそうであれば、任期制とも相俟って、他大学が費用をかけて研究者に研究をさせた成果を、一定の期間その研究者を雇うことで利用し、その研究が古くなって陳腐化すれば任期満了とともに外部に放出する(テニュア制もあるようなので全てが全てではありませんが)、すなわち自分たちでは費用もかけずリスクもとらないでおいて、他大学がかけたコストの一部をいいとこ取りしているような気もしました。また、全体を通して筆者が“グローバルスタンダード”というある種得体の知れないものに盲目的なまでに合わせようとし、逆に日本にそれに抵触するような習慣などがあれば何ら迷うことなく切り捨てて悔やむところなしといった様子が感じられ、違和感を覚えました。 と、まあ、色々と疑問や不満もある内容ですが、授業のやり方にせよ教員の採用の仕方にせよある意味でかなり極端を行っているだけに大学というものを考えるよい材料になること、また就職率に端的に表れているようにこの大学が一定の成果を上げていることなどを考えると一読の価値は大いにあると思います。
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
今、日本が必要としている教育現場とは?,
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レビュー対象商品: なぜ、国際教養大学で人材は育つのか (祥伝社黄金文庫) (文庫)
読んで驚きました。卒業して直ぐに役立つ人材を育てている。 英語で授業する。大学図書館は24時間オープン。 4年のうち1年は海外で単位を取って、それを国際教養大学が単位として認める。教師も、確か3年ごとにチェックが入り、一定のレベルに到達しない教師は、再契約しない。 2年を終えた時点で英語力を見るテストがあり、それをパスしないと3年に進級できない....。 たとえ入試に落ちても、特別入学制度があり、1年間、履修後、再入試を受けられる。 なかなか、自由で魅力的な学び舎ではありませんか?
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
語学力を武器に真の教育に取り組む大学のポーラスター,
By xxxCOOLxxx (宮城県仙台市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: なぜ、国際教養大学で人材は育つのか (祥伝社黄金文庫) (文庫)
今の日本において「研究」はともかく世界に通じる「教育」を行っている大学はどれほどあるだろうか。ここでいう「教育」とは、社会人としての基礎となる歴史的・文化的な教養を身に着けた上で、社会のあらゆる場面でしっかり自分の意見を主張し、また他者と融和する能力のことである。従って現在の中レベル以下の大学が生き残りを賭けるために血道をあげているTOEIC対策や資格取得により手に職をつける的な場当たり的対応策は、大学本来の役割からすると真逆なベクトルであると言わざるを得ない。とまあ今までならこのような意見は綺麗事、絵空事と批判されたのだろうが、誕生間もないこの地方公立大学の驚嘆すべき実績は、そのような批判を一瞬にして封じ込める現実的な回答と言える。今のところは留学制度や語学力ばかりが注目されているが、この大学は学生に対して国際的に通用する基本的な教養教育を行うことが第一の目的であり、あくまでその手段として語学教育を充実させているという事に過ぎないのである。 またその結果として、就職に特化したカリキュラムを組んでいる大学の学生を差し置いて希望する企業にガンガン就職が決まっている、という今の日本社会における痛快なパラドックスを生んでいるところも非常に興味深い。 大学関係者というより、多くの受験生に読んでいただきたい一冊である。
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