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なぜ、アメリカ経済は崩壊に向かうのか―信用バブルという怪物
 
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なぜ、アメリカ経済は崩壊に向かうのか―信用バブルという怪物 [単行本]

チャールズ・R. モリス , Charles R. Morris , 山岡 洋一
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

金融資産の総額が世界GDPの4倍を超え、金融派生商品の総額が世界GDPの10倍を超えるなど、異常に膨らんだ信用バブル。その崩壊がもたらす衝撃はベアー・スターンズの救済買収だけにはとどまらず、アメリカ経済そのものを未曾有の危機に突き落としている。だが、アメリカの当局者と金融業界は、危機を過小評価し、問題を隠蔽しようとしている。これは、日本がバブル崩壊後に進んだ最悪の道である。この結果、2008年の大部分の期間、隠された損失が表面に浮き上がるたびに市場は動揺し、ドル安の進行に歯止めがきかないだろう。これからアメリカ経済はどうなるのか。内需主導型経済から輸出主導型経済への構造転換が起こるのか。新大統領がとるべき経済政策とは何か。S&L(貯蓄金融機関)危機やLTCM危機、日本のバブル経済、ハイテク株バブルなど歴史的な観点から、次なる展開を解き明かしたニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

モリス,チャールズ・R.
弁護士・評論家、元銀行家。10冊以上の著作をもち、ニューヨーク・タイムズ紙やウォール・ストリート・ジャーナル紙にもたびたび寄稿している。『世界同時好況が来る』は1999年のニューヨーク・タイムズ紙の「ノータブルブック」に、また前著The Tycoonsは投資週刊紙バロンズの「ベストブック」に選ばれた

山岡 洋一
翻訳家。1949年生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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形式:単行本
早くから証券化商品の危険性を嗅ぎ付け、2008年初頭には1兆ドルの巨額損失(原題はトリリオン・ダラー・メルトダウン)を警告していた著者による、実に質の高い著作。日本のエコノミストのいかなる著書よりも当書1冊の価値の方が高いと断言できる。今更に強欲資本主義を批判している泥縄評論家たちの遥か先の高みに、当書は既に到達している。

ヘッジ金融主体からポンジ金融主体へと、リスクを忘却し不用意にレバレッジを高めてゆく過程は今後も繰り返されるであろう。ミンスキーの理論もコンパクトに纏められており、門外漢としては大変に勉強になった。感謝したい。

他のレビューにない重要な点を3つ挙げたい。この日本社会のためにも。

著者はアメリカの保守派とリベラルが交互に優位に立つ政治サイクルの存在を指摘し、いずれの陣営ともに長期間政権を維持してゆく中で自身の欠点を露呈し腐敗してゆくこと、従って特定の政治勢力が勝利を収め得る期間が限られていることを指摘する。

また、アメリカ経済が市場という神に懸命に奉仕した結果が産油国と中国の台頭であり、アメリカの繁栄を支えていた循環構造が終わったことも明示している。

同時に、これまでのアメリカの繁栄を支えたのは教育や交通網、インターネットインフラなどへの投資であり、政府による賢い予算配分が大きな成果をもたらしてきたことも指摘しており、最盛期を過ぎたアメリカの活力が尚も力強く息づくであろうことを予感させる。

日本経済の方が深手を負っているのも或る意味当然である。経済や社会の構造を一変させ得るダイナミズムから我々が学ぶものは依然として多いと考えざるを得ない。
このレビューは参考になりましたか?
21 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
「バブルは予知できないし、それを防ぐことは出来ない」と言うのがグリーンスパンFRB前理事長の不可解な弁明である。しかしバブルを予測し懸念した人がいなかったわけではない。グリーンスパンは彼らを無視しただけでなく彼らが具申する意見を積極的に妨害した。このようなグリーンスパンの確信の拠って立つところは、ミルトン・フリードマンを総帥とするシカゴ学派の市場万能主義のイデオロギーである。それはウオール・ストリートの利益を代弁するものであることによって世界的な潮流となった。マスメディアも手遅れになってから初めて問題の大きさに驚いた。レヴァレッジが多用される各種の金融派生商品が膨張させたバブルは単なる「資産バブル」ではない。それは膨張係数が高いだけでなく、強烈な浸透力で経済システムの根幹をなす信用制度を蝕む「信用バブル」となって世界を震撼させている。
著者はこの問題にいち早く着目し、この予言的な書物は今年3月に出版された。原題は「一兆ドルのメルトダウン」であり、バブルのもたらす破壊は1兆ドルに及ぶことを示唆している。その後に発表されたIMFの推計では「信用収縮」に関連する評価損とデフォルトの合計の予測中央値は9,450億ドルである。本書の視野は広く政治経済の動向全般にわたっているが、後追いになったマスメディアが小出しにしてきた、サブプライム・ローンに始まってCDS(信用デフォルト・スワップ)に至るまでの各種の金融商品の羅列に幻惑され続けてきた読者には第3章以下にある説明がとりわけ有用である。
それにしても驚きに満ちた本である。ここに描かれた政界、ウオール・ストリートの腐敗、拝金主義は想像の上を行く。しかも著者の柔軟な思考は「1980年代に経済政策が政府中心型から市場重視型に変化したことは80年代と90年代にアメリカ経済の回復をもたらす決定的な要因になった」と述べて、金融派生商品が経済の効率化に貢献したことを十分に受け入れている。しかしその上で、今や「市場重視が問題の解決に役立つ考え方ではなくなり、問題そのものになる時期がきたのだと思える」という結論に到達している。易しい本ではないだけに翻訳に丁寧さが欠けているのは残念である。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By すや
形式:単行本
アメリカではベストセラー。

この本の根底にあるのは、アメリカではリベラリズムと保守主義が振り子のように代わる代わる現れるという単純な史観であり、それは単純すぎるきらいもあるがその分話をわかりやすくしている。

ロナルドレーガンのレーガノミクスに始まるアメリカの新自由的政策によって、政府は過度の規制緩和を進め、それが金融セクターに於いてはクレジットバブルという時限爆弾を作ってしまった、というのが議論の一番の柱だ。

それが金融工学という現代的ツールを利用することで莫大な損失を生む結果となった。金融機関はサブプライム証券を切り刻んでいかにもリスク管理がなされているかのように証券化し、それを世界中に売りさばいた。しかし、理論上は相関の低い資産を組み合わせてポートフォリオのリスクを低減しているように見えても、住宅バブルの崩壊のようなマクロ経済ショックが起こると一気にデフォルトが発生し、証券化商品は紙くずと化してしまう。

しかし、サブプライム関連の損失は全体から見るとそれほど大きなものではなく、それを引き金にして、過度なレバレッジによる信用収縮が起こったことがこれほどまでの損失を出した主因であるという。

そこで筆者はレバレッジ規制やグラススティーガル法(商業銀行と証券会社を分離する法律)の復活まで踏み込んだ提言をしている。

難しいのは保守主義も70年のリベラリズム(大きな政府)の失敗から生まれたものだと言うこと。正解はよくわからない。

訳文はこなれてない印象で読みやすいとは言えない。また、アメリカの制度的問題を論じるところでは知識がないので少々退屈に感じてしまう。

ただし、野村証券のエコノミストによる解説文は非常に良いサマリーになっている。
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