事例は『ハリー・ポッターと賢者の石』、映画『アメリ』、藤圭子のデビュー曲、『なめらかプリン』など計11例。商品の直接的なパブリシティで成功したケースだけでなく、自らのテレビ出演で店の信頼度も高めた『監獄レストラン』の安田社長、ドラマ『ホテル』の撮影舞台に名乗りを上げて集客につなげたヒルトン東京ベイなどのケースも取り上げている。
企業側の仕掛けにマスコミや顧客がどのように動いたかを簡単な図にしており、どのタイミングでプレスリリースを打ったかなどがひと目でわかる。内容の大部分は、「仕掛け人」へのインタビューをもとに書きおこしており、各人が手掛けたリリースの内容や送り先の工夫、マスコミの人脈づくり、プレスリリースに「ストーリー」を盛り込むノウハウなどが学べる。
本書ではこのほかに、販促広報の4ステップ、自社媒体やホームページなどのメディア戦略、プレスリリースの書き方、「企画型プレスリリース」などを解説している。「全部無料」とはいうものの相当な労力を要したり、内容がともなわないものにマスコミもなびかないことが想像できたりして、著者が言うほど簡単にはいかないように思えるが、広告を打つ余裕のない企業にとっては、やはり耳よりのノウハウだろう。マスコミを意識することで、自社の商品やサービスを見つめ直す良い機会にもなるはずだ。(棚上 勉)
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大企業にいると、目に見えない信頼の恩恵を授かっていることを
ついつい忘れがちになるため、勉強になりました。
著者が前提にしているのはあまり宣伝費を使えない中小企業・ベンチャーのマーケティングですが、ともすれば代理店お任せになりがちな大企業宣伝部の人間も読んでおきたい本。「露出」させればよいというものではないという発想の転換の契機になるのでは。
後半は効果的な(編集者の目にとまる)リリース文書の書き方指南。
ヒット商品とは、本書で紹介するように小手先のパブリシティや広報でお手軽に生まれるモノではないことはモノを売ったことのある人ならば誰もが実感するはず。
それは商品企画担当者、商品開発担当者、きちんと品質を管理し製造を行う製造担当者、広告表現を開発するコピーライター、媒体計画を練る広告担当者、お店の棚を確保しお店の人に売る気にさせる営業担当者、そしてお店の人の熱意、などさまざまな人の協力があってはじめて成功するものです。
これは物作りだけの世界ではなく、映画作りであろうと、雑誌作りであろうと、同じです。
こうした実の部分がなければパブリシティのネタにもならないことは明らか。
パブリシティ計画は不可欠であるが、パブリシティというコントロールが不確実な手法にたよって売上をまかせられるほど、商売の現場は甘くない!
著者にはいつも厳しい言葉を並べて申し訳ないが、いつも自腹で本を買わせていただいている以上、これくらいは許していただきたい。
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