私はこの本を、フェルディナン・セリーヌについて、何の予備知識もなしに読んだ。
しかし・・・セリーヌのキャラクター云々の前に、この本はまったく面白くないのである。
セリーヌという人がどんな人か、ということはこの本を読み進めていくうえで何の問題にもならないだろう。
アナーキーな作風で、それでいてしっかり物語りを紡いでいく、という方法には感心する。しかし、それと小説の面白さとはまったく別の次元にある。わかりやすく(?)言えば、すごく豪華な食器を使って玉子焼きを喰わされた、といった感じだろうか。
ロートレアモン伯爵「マルドロールの歌」を思い出して欲しい。あのポエムはまったくアナーキーだが、しっかり地に足がついているのである。「なしくずしの死」とはまったく違う。
確かに本書を好む方はいるだろう。ストーリー関係なしにただ文章の奇抜さを好きになる方はいらっしゃるだろう。しかし私に限って言えばまったく楽しめなかった。
この本を好む方はよほどの物好きなのだろうな、と、読みながら思ってしまった。それでも読んで見たいという方はどうぞ。ひょっとしたらこの本はあなた向けかもしれないから。