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ながい旅 (角川文庫)
 
 

ながい旅 (角川文庫) [文庫]

大岡 昇平
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

第二次大戦中、空爆を行った米軍搭乗員の処刑を命令した容疑で、B級戦犯として起訴された東海軍司令官・岡田資中将は、軍事法廷で戦う決意をする。米軍の残虐な無差別爆撃を立証し、部下の命を救い、東海軍の最後の名誉を守るために。司令官として、たった一人で戦い抜いて死んだ岡田中将の最後の記録。『レイテ戦記』を書き終え、戦争の総体を知った大岡昇平が、地道な取材を経て書き上げた渾身の裁判ノンフィクション。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

大岡 昇平
1909年、東京生まれ。32年京大卒。在学中より文学を志す。44年召集を受け、赴任地のフィリピン・ミンドロ島で敗戦を迎え、米軍捕虜となる。生還後『俘虜記』『野火』(読売文学賞)『ミンドロ島ふたたび』等、戦争体験に基づく生々しい作品を多数発表した。恋愛小説、翻訳、評伝などの著作もある。71年藝術院会員に選ばれるが辞退。文学者としての良心に従い、率直な文筆活動を続けて、さまざまなジャンルにおいて高い世評を受けた。88年、永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 333ページ
  • 出版社: 角川書店 (2007/12)
  • ISBN-10: 4041211085
  • ISBN-13: 978-4041211083
  • 発売日: 2007/12
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 298,027位 (本のベストセラーを見る)
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56 人中、55人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ringmoo トップ500レビュアー
形式:文庫
「明日への遺言」として映画化されるのを機に、この本を手にしました。

驚いたのは、この岡田資という人物が目と鼻の先の半田市に住んでいたという事実と、この本が新聞小説として掲載され、読む機会があったのに逃していたと言う事実でした。それに、名古屋の街が絨毯爆撃で、これほどの被害を出していた事実も知りませんでした。

作者の筆は、この岡田資のB級裁判の模様を丁寧に追ってゆきます。

裁判の論点は、岡田が死刑にした米兵が絨毯爆撃をした戦争犯罪人なのか、俘虜なのかと言うことが第一点です。
もう一点は、その死刑判決に際して、弁護士も置かない略式の軍律会議によったということです。

これに対して、岡田はどうどうと検事に対抗し自分の意見を述べて行きます。同時に、部下の命を守り抜こうとし、罪一切を一人で背負おうとしました。
作者は、決して日本軍の戦争に賛同の立場を取らない人ですが、こうした岡田の姿勢に大いに共感を示していることが、文章の端々に読み取れます。
岡田の死刑判決にも動じない誇り高き日本人ぶりに、ほれ込んでいるような文章です。
この岡田の屹然とした態度は、どこから来ているのでしょうか?
日蓮宗に帰依し、法華経を死の直前まで読み解釈を加えていたと言うバックボーンの存在なのでしょうか。
それでいて、彼の遺言状のあの家族への優しい思いはどうでしょうか。とても、死の直前にあれほどの妻への優しい言葉がかけられるものでしょうか。

確かに、作者でなくても男ぼれする人物だと思います。
今の世の中、自分の権利だけ主張する人が多いのですが、部下の行為はすべて自分の責任だと言いきれる人がどれだけいるのでしょうか?
作者の思いが乗り移ったかのように、岡田資を見つめてしまいます。
このレビューは参考になりましたか?
23 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 映画『明日への遺言』の原作です。

 名古屋の空襲のときに、不時着した米兵を処断したという罪状でB級戦犯とされ、刑死した岡田中将の裁判の様子を淡々とした筆致で描き出していきます。岡田中将は、裁判で、部下をかばい責任はすべて己れにあるとしつつ、無差別爆撃をした米軍もまた国際法違反であることを論理的に訴えていった人物です。

 著者は、なるべく正確かつ客観的に戦犯裁判の背景や岡田中将の発言、家族とのやり取り、遺書などを記していきます。冷静な筆致だからこそ、極限状況に置かれた中での美しい生き方、武人としての責任の取り方が浮かび上がり、胸に迫ります。また岡田中将が戦時中に置かれた状況の困難さと決断と行為の意味について考えさせられます。

 本書は、映画の公開に合わせて出版された新装版です。活字も文庫本にしてはそれほど小さくなく、読みやすいです。

 ただ、本書に収録された学者の解説は少々蛇足のように感じます。著者の大岡昇平氏が、なるべく賢しらな道徳的観点を交えず、ただ岡田中将の生きざまを描写しようと徹したのに対し、解説は、現代の視点から若干頭でっかちの論評を加えているように感じ、本書の趣が損なわれているように思います。
このレビューは参考になりましたか?
16 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
大岡昇平氏の戦争モノでは、多くの読者さんらは「野火」「俘虜記」「レイテ戦記」を思い浮かべられるんちゃいますやろか。わては、シニカルで、かつどこかフランス哲学か何かの描出的な心理描写の文章が大好きなんですけども、「俘虜記」の横に並んでおった本書も買うてきて、読みました。最初は、大岡氏の晩年の比較的小品、くらいにしか思っておらず、読み出させていただきました。

「野火」「俘虜記」も大岡氏の実体験に基づくノンフィクション的作品と、読者はどうしても思いますけども、ほしたら、本作は岡田司令官に基づくノンフィクション作品。大岡氏の岡田中将への強い共感が感じられて、実に懐が深い作品じゃ。例年終戦のころになるとテレビでみる太平洋戦争関連の番組は、ともすると重い感じがせんでもないですけども、本作は、そういう意味突き抜けた感じがする。死や戦争のおろかさを感じさせるというよりは、超越した、強靭な岡田資氏の精神がすがすがしく、かつ共感に満ちて強く感じさせられる作品なんですなあ。

巣鴨の、岡田氏の亡くなった跡を今度訪ねたいと思うと共に、大岡氏のあのクールな、特にかなり軍執行部への批判的な「野火」や「俘虜記」での文脈は、何ゆえやったのやろう、と思います。大岡氏も歳を重ねて、愛国的なものに共感を深めていかれはったのか?あくまで、岡田氏への個人的共感なのか?戦後の不安定な世相で、大岡氏も本心を書けへんかったのかも、ということをほのめかすくだりも本書に出てきとります。

本書冒頭にある、岡田司令官の家族写真と戦中、戦後の写真、この厳しい中にも優しさを感じさせる写真は、わての小さい頃の、小学校の校長の厳しさと優しさを想起。実に含蓄が深い、夏の宝物のような作品です
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