池波正太郎と言えば、鬼平シリーズをはじめ、剣客商売、梅安シリーズが有名だが、この本「ないしょないしょ」は数少ない「女性」が主人公なのである。その主人公「お福」は、波乱の人生を送るのだが、その主人公を助けるのが若き日の秋山小兵衛というところが池波ファンならたまらない設定であろう。 もし、池波正太郎を知らない人で、「ないしょないしょ」を読み始めるのなら、剣客商売をまず一通り読んでから読まれることをお勧めする。なぜなら、秋山小兵衛は「剣客商売」の主人公でもあるからである。またこの本は、一女性を主人公にしたことでより身近に感じられる存在となっている。それゆえに、読み終わったあとは何とも言えない悲しさが込み上げて人生のはかなさが身にしみる。しかし、それと同時に「お福」の逞しくもしなやかな人生に、元気がわいてくるのである。そこが池波正太郎の不思議なところであり、魅力なのである。