正直に言って、ストーリーが面白いかって訊ねられると僕は首をかしげたくなる。
つまんなくはないけど、特別面白くもない。全編通してそんな感じ。
だけど独特の雰囲気がある。
文体と会話文と背景の描写とが、この人の目に見えていた世界をくっきりと作り上げているのだ。
僕の場合、どんな小説も本を閉じた瞬間からさらさらーっと頭の中から出て行ってしまうのだけど、たまに読んだ後もしっかり印象が残っているものがあって、この小説はまさにそれなのだ。
僕は物語の盛り上がりとかよりも、空気を感じたいっていう方なので、この作品は僕の好みにマッチしている。
従って星4つだけど、ストーリーやわあっと驚くプロット派の方だと、そんなに楽しめないかもしれないと思った。