私に書評という仕事が命懸けで、職人技で、そして何より
愛の伝道だということを感じさせてくれたのはまさにこの著者なのです。
いかに著者が本の世界を愛しているか、
そして愛ゆえにこの業界の行く末を憂いているか。
圧倒的な知識と麗しいボキャブラリー。
時にはせつせつとかきくどき、時には少女のように胸に本を抱きしめ、
時には落ち込み、しかし日が昇ればまた衆愚のために道を照らす。
それは、さながら旗を掲げて民衆を扇動するドラクロワの女神、
もしくは立て板に水の口上で大衆を惑わせ、煽って購買に導く
大道芸の達人を彷彿とさせます。
それでもなぜなのか、この本で太鼓判を押された本たちを
読むことはこれからもないような。
彼女の書評の熱さにすっかり燃え尽きてしまったからというのもありますが
私は、自分が「本読み」ではないんだということを
思い知らされてしまったのかもしれません。
女神のアジテーションに心を奪われつつ、ついていきたいけれど
一歩足を踏み出せず遠巻きに眺める大衆に紛れて隠れてしまいたいような。
だってあまりに厖大で深淵な世界。踏み込んだら戻ってこれないことでしょう。
「メッタ斬り!」シリーズとの併読がさらにアツイ!