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どぶどろ (扶桑社文庫―昭和ミステリ秘宝)
 
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どぶどろ (扶桑社文庫―昭和ミステリ秘宝) [文庫]

半村 良
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

半村良の時代小説の傑作、ここに復刊
江戸の下町吹き溜まり、そこに降って沸いた怪事件。夜鷹蕎麦屋の親爺が切り口鮮やかな一刀のもと殺された。殺しの真相を追う平吉がたどり着いた真実とは?人気作家宮部みゆきに「いつかこんな小説を書いてみたいと思いました」と言わしめ、また彼女の長編時代小説『ぼんくら』のヒントともなった傑作。

内容(「BOOK」データベースより)

魔が差して掛け取りの金に手を付けてしまった莨問屋の手代・繁吉の苦悩。(「いも虫」)。亭主に先立たれ商売敵の囲い者となった女房。その子供たちに乞食が放った痛切な台詞とは?(「おこもさん」)。本所で発生した夜鷹藁麦殺し。山東京伝の従者・平吉は、その謎を追ううちに、意外な真相に到達する…。(「どぶどろ」)。天明末から寛政の世を舞台に、名手・半村良が市井の人々の哀歓を細やかな筆致で謳いあげる大江戸人情世話ミステリー。

登録情報

  • 文庫: 492ページ
  • 出版社: 扶桑社 (2001/12)
  • ISBN-10: 4594032885
  • ISBN-13: 978-4594032883
  • 発売日: 2001/12
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 66,614位 (本のベストセラーを見る)
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
半村良はSF作家のイメージが強いが、なかなか味わい深い時代小説を残している。

構成が凝っていて、それを味わうのも本作の楽しみのひとつなのであまりその部分については触れないでおく。それでも事前に知っておきたい人は下のレビューに詳しく書いてあるので、見ておくと良い。

本作の魅力はなんといっても市井の人々の生き様だろう。人それぞれに幸せを感じたり不幸を感じたりしている。つらいことのほうが多いが何とかがんばって生きている。そんな中で明かりを見つけ出すのだ。

これは本作に収録されているすべての編に共通して言える。結果のよしあしではなく、その過程で何を見出せたか…

このレビューは参考になりましたか?
9 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
無念の物語 2002/9/24
形式:文庫
7つの短編が、本編に融合されていく巧妙な構成を楽しむことが出来る。

市井無名の人々に対する作者の愛情が、それぞれの短編にそそがれている。なかでも、うだつの上がらぬ40男が出戻り女房に励まされ、男として再生する話は秀逸である。しかし本編どぶどろでは、なぜかやりきれない結末で作者は筆を置いている。主人公である平吉の正義は最後、「どぶ」からすくった「どろ」の中へ捨てられてしまうのだ。ここには勧善懲悪の清涼感はなく、後味の悪いまま物語は終わる。
短編に登場する善良な人々が事件に巻き込まれ、それを追及する平吉は親と慕う人々の正体を見てしまう。そして、いままで自分が偽物の人情の世界で生かされていたことを知る。
「この世はどぶで、俺たちはどぶどろなんだ。饐えて腐りプンプン匂ってやがる」

平吉は善人づらして人を上から見下ろして生きてきたある男に一言でも言ってやりたくて男の屋敷へと向かうのだが、作者は怒りと悲しみに満ちた平吉を突然舞台から降ろした。

女房は夫の手を引っ張って走り出した。
「嫌よ、折角しあわせになれたとこなのに」
その声を、平吉はぼんやりと聞いていた。

しあわせになる為には、いろんなことから目をそむけなくては・・・見て見ぬふり・・・
平吉のこの台詞は、組織に対する個人の無力さと弱者の生きる知恵をあらわしている。

巨大な権力を前にして、あまりに非力な平吉の無念の物語。悪人は一掃されず、事件も闇に葬られる。どぶどろは娯楽の側面からみると成功しているとは言いにくい。平吉の弱者として生まれてきた人間の不幸を主題にしているからだ。
別の意味での意外な結末をあじわえる特異な本である。

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