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どうして英語が使えない?―「学校英語」につける薬 (ちくま学芸文庫)
 
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どうして英語が使えない?―「学校英語」につける薬 (ちくま学芸文庫) [文庫]

酒井 邦秀
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (17件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

『試験にでる英単語』と『基本英文700選』で大学には合格した―でも少しも英語ができるようにならなかった「あなた」へ。英和辞典が気づかない英語・日本語の一対一対応と、学校英語・受験英語の人工言語化が日本人の英語力を低くしているのではないか。大量の英語のシャワーで、いままで習い覚えた英語をすっかりunlearnする必要があるだろう。ハリウッドのアクション映画『スピード』を見ながら、英語の決まり文句と生の発音を体得し、TIME誌掲載の野茂投手の記事から、60%の理解で速読・粗読する独自の方法を提示する。学校英語の害毒を中和するためのModest Proposal。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

酒井 邦秀
1945年生まれ。一橋大学社会学部博士課程中退。電気通信大学助教授。専攻、英米児童文学・英語教育。日本の英語教育のありかたに疑問を投げかける一方、自らも大学の現場や中学生を相手にさまざまな授業のやり方を模索中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 332ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (1996/01)
  • ISBN-10: 4480082468
  • ISBN-13: 978-4480082466
  • 発売日: 1996/01
  • 商品の寸法: 14.6 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (17件のカスタマーレビュー)
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By g-head
形式:文庫
学校英語と受験英語にどちらも深刻な問題点があることは事実である。だが本書は少し英語至上主義に傾いているのではないか。

例えば、英語のネイティブはelder brotherなどとは普通言わないし、そもそも英語では兄弟姉妹の上下関係なんかほとんど気にしない、ということが指摘されている。しかし、だからといって、日本人が使う英語でもelder brotherやolder brotherと言うべきではない、というのは、英語話者と話す時は日本文化の考え方を捨てなさい、と言っているようなものである。英語を学ぶ上で文化の違いや世界観の違いを認識することはもちろん重要である。しかし、異文化を理解するということと、相手の文化に阿諛追従するということは違う。もし日本人の誰もが英語を話す時に兄弟や姉妹を区別しなければ、日本人と英語で交流した海外人は、兄弟姉妹の上下関係をはっきりと区別する日本文化の思想に触れることができない。これはどう考えても国際理解という観点からは有益ではない。逆に、多少最初は変な感覚を相手に与えたとしても日本人がことあるごとに兄弟姉妹のolderとyoungerを区別しているとわかれば、海外人も「日本ではその区別がそんなに重要なことなのか」とか「そんなことが重視されている文化もあるのか」と徐々に理解を深めていくはずである。

また、文法の軽視もあまりに度が過ぎると問題である。タイムの記事を解説しているところでは、onlyから始まる要素の後、文の倒置が起こっている箇所を「リズムの問題」だと説明しているが、そのリズムはどうやったら体得できるのか。普通に考えれば、「否定的な意味を持つ副詞要素の後では倒置が起こるのが文法のルール」と説明したほうがはるかに納得できる。リズムは大量のインプットで身に付けるしかない、と言われても気の遠くなるような話である。また、著者は第6章で受験英語の和訳問題形式を槍玉にあげ、内容理解よりも、省略・倒置・仮定法、比較、分詞構文などなどの文法ポイントを問うだけの問題と批判しているが、試験で差がつくからこそポイントとなるのであって、大昔から出題され続け、予備校や学校で傾向と対策がとられているのにもかかわらず、いまだに試験で差がつくのだとしたら、それだけ日本人がつまずきやすい箇所なのだという見方もできるはずである。

そして、本書を読んでいると、こういったいわゆる文法ポイントからなる「複雑な構文」が受験英語以外の英語とは無縁であるかのような感覚を抱いてしまうが、例えば、世界的にヒットした現代大衆小説であるThe Davinci Codeのような作品でさえ、実はこのような「文法ポイント」で埋め尽くされているのである。部分的に見れば、いわゆる難関大学の英文解釈問題と比較しても全く遜色のないような文章もある。

こういったことを全て考え合わせると、本書の受験英語、学校英語批判はやはりラディカルに過ぎるといわざるを得ない。
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By smna
形式:単行本
著者の主張としては、真の実力をつけるには、多読と多聴を、ということ。
そこに至るまでの説明として、いわゆる受験英語や受験参考書や英和辞典の欠点を挙げているところがあり、これをどう評価するかで全体の評価も分かれるところだと思う。
確かに、他のレビューにあるように、従来の辞典等にある欠点の指摘には的を得たところも多いし、700選を覚えるべきか?と悩んでいた読者には、決心を促す吉報となったところもあるだろう。
しかし、全体を通読した限りでは、結論とこれを支える論拠があいまい、という印象は否めず、また、散見される極端な表現(「単語を一つずつ覚えること自体が不合理の極み」だとか「天下の奇書」等)は、本当かなあ?という疑問を抱かせた。加えて、従来から松本道弘氏が唱えている主張に、しかもunlearnというこれも松本氏が多用してきた単語を使っての説明、となると、本書の独自性という色合いも薄いと感じざるを得ない。今日只今出版されていて、私の手元にある英和辞典は本書の非難に当たるところは皆無だったし、本書自体が多少時代遅れになりつつあるということになるのかも。
このレビューは参考になりましたか?
15 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By BCKT
形式:文庫|Amazonが確認した購入
第1部 英和辞典批判 
_第1章 一対一対応という幻想
_第2章 英和辞典はGlorified Wordbook
第2部 「学校英語=人工言語」論
_第3章 乗っ取られた英語の音
_第4章 句、構文、文法の一対一対応
_第5章 受験英語の栄光と悲惨
_第6章 学校英語という名の人工言語
第3部 英語学習の未来
_第7章 学校英語よ、さらば
_第8章 あたらしい出発
付録 演習編

著者は1945年生まれ。出生地と出身大学は不明。大学院は一橋(社会学部博士課程中退)。英米児童文学・英語教育専攻。電気通信大学准教授。2011年,大学HP確認時点で準教授のまま(情報工学科計算機応用学)。ということは,66歳で准教授ということだ。各地の准教授定年者とこの著者が違うのは,英語教育多読教信者たちの心をがっちり掴んだことだ。『教室で読む英語100万語 多読授業のすすめ』,『さよなら英文法!多読が育てる英語力』,『ミステリではじめる英語100万語』,『快読100万語!ペーパーバックへの道』など,著書はバカ売れした。本書は,著者が48歳の時,1993年発売の単行本の文庫化。HP:http://tadoku.org/ 

結論から言えば,本書は,俗耳に入りやすい,野次に近い英語教育誹謗の書にすぎない(理性的な「批判」−一知半解の「批評」−狂乱的な「誹謗」)。本書を私が取りあげる価値があると感じたのは二点ある。第一は,多読推奨大学研究者として名をはせた著者の作品であること。第二は,辞書の改訂がお為ごかしにすぎないことをきちんと指摘している事実による(第1部)。華々しい改訂版の発売とその謳い文句は学年度末くらいから喧しいが,旧版と比べてみても,それほどの改訂が行われたとは(辞書編纂者には申し訳ないが)言い難いのが通例だ。この点で,酒井の見解に同意する。しかし,この点への批判は山岡洋一『英単語のあぶない常識』のほうが鋭角の説得力がある。

(後続)

(承前)

「俗耳に入りやすい」というのは,辞書における単語と訳語の一対一対応をめぐる誹謗にある。“語義と訳語の区別が付いていない!”という言い回しはたしかに魅力的だが,コアイメージでつかむ英単語みたいな発想(たとえば,「“on”という前置詞は「のうえに」(という訳語)ではなく,“接触”(という語義・イメージ)があるんですよ」的説明)は,13歳の純正日本人には把握が難しいと思う。そもそも,母語を非母語と照らし合わせて初めて理解できるのだから(これを言語的架橋=翻訳=理解という),とりあえずは一対一対応で初戦を突破することは市井の民には常道のはずだ。この対応を崩すには,初心者のレベルを脱却する必要がある。

「野次に近い」というのは,学校英語誹謗に関するものだ。その第一の理由として,本書単行本が出た93年時点で,著者は森一郎『試験にでる英単語』(初版1967年)と駿台文庫『基本文例700選』(同1968年)を叩いて満足している。バブルがはじけた後で東京オリンピックのことを持ちだしているのだ。卑怯じゃなかろうか? 第二に,英語教員のくせに,あろうことか文法事項の削減を提言している。stop 〜ingとstop to不定詞なんか分けて覚える必要はない!と言いきっている(220頁)。バカか。第三にこの著者が巧妙なところは,現役の英語教員の英語力を不問に付していることだ。文科省が英語教員にはせいぜい英検2級を取ってくれ的御発令を数年前にしたはず。ということは,実態は3級がせいぜいということだろう。このことを著者が知らないはずがない。潜在的な賛同者の手を噛んではいけない,犬ならば。第四に,本書70ページくらいからの「乗っ取られた英語の音」でカタカナ表記の愚を指摘しながら,同書「演習編」290ページあたりではカタカナで英語音を表記している。おいおい,これって矛盾って言わないのか? 

大学研究者にしては文章が緩いよなぁという印象は,著者が66歳で准教授だという事実によって裏付けられたような気がする。彼はハードな文章から遠ざかっているはずだ。つくづく私は残酷な書評者だと思う。結論的評価が途中で見えてきたはずなのに,時間をかけて読了してボコボコに貶している。ああ,神よ,罪深き私を許したまえ。

(1662字)
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