出版社/著者からの内容紹介
ご存知のように、焼物には陶器(陶土を材料にしたもの)と磁器(白い陶石を材料にしたもの)があります。日本で最初に磁器が作られるようになったのは、江戸時代初め、1610年代のことで、肥前の国有田でのこと。製品はすぐ北の伊万里の港から各地に出荷されたことから、「伊万里焼」または単に「伊万里」と呼ばれるようになりました。
それまで日本には焼物といえば土ものの陶器しかなかったわけですから、勝手に想像するに、当時の食卓はかなり地味だったに違いありませんね。わが祖先たちは、なんとか白い焼物をこしらえようと、白泥の釉を化粧掛けするなど努力したのだけれど、それは中国磁器の透けるほどに美しい白肌には及ぶべくもなかったことでしょう。
ついに原材料となる陶石を見つけ、中国や朝鮮の技術を得て、さらに日本の美意識を加えていって、伊万里はその後大いなる発展を遂げていきます。そのあたりはぜひ、本書の荒川正明先生の文章をご参照ください。伊万里、と一口に言っても、初期伊万里、古九谷、鍋島、柿右衛門、金襴手、染付などさまざまな様式があって、その多種多彩さには驚かされます。どうしてそういうスタイルのものが生まれてきたのか、それぞれ何がどう違うのか......例示とともに、痒いところに手が届くように解説されています。
柳宗悦、秦秀雄、星野武雄といった骨董の目利きたちは、昭和30~40年代、伊万里の中でもそれまではあまり注目されていなかった染付に美を見出した人たちでした。彼らが惚れた伊万里とは? 青柳恵介さんがご自身の体験をふまえながら案内してくれます。
さて数多ある伊万里のなかでもどんなスタイル、文様、形がお好みでしょうか。伊万里の全貌を見渡したうえで、ぜひ好きなものを見つけてください。そして、好みのうつわを求めてみてはいかがでしょうか。幸いなことに伊万里は日本各地にたくさん存在します。博物館にあるような美術品は無理でも、食卓や座辺に置くものを買い求めることは可能です。本書では、かつて北前船が行き交い、はるばる九州から伊万里が運ばれた城下町、山形県鶴岡市を青柳さんが旅し、骨董屋さんめぐりをしました。さて、どんな「お宝」に出会えたでしょう・・・。お楽しみに!
内容(「BOOK」データベースより)
白い肌に染付の青の美しさ。赤、黄、緑で埋め尽くされた色絵の見事なこと。日本ではじめて肥前有田で焼かれた磁器、伊万里は、スタイルも文様も多種多様。奥が深くて、幅広い。やきもの好きをうならせる博物館級の名品から、日常使いに楽しめる身近な器まで。伊万里の魅力を知る(歴史)、見る(鑑賞)、使う(実用)ために、格好の一冊。