題名はとんかつだが 要は 明治時代に 日本がどのように洋食に取り組んだかという内容である。
明治維新は 当時の日本にとっては 驚天動地の出来事であったろうと思う。欧米の文明と文化を いささか強引に吸収していった中に 西洋料理も含まれていた点にはおどろいた。
肉食にしても 明治天皇自身が 肉食をしてまで 日本人に薦めたという事は本書で初めて知った次第である。別に 肉食が文明開化でもないとは思うが 当時の日本人は真面目にそれを考え 「上からの西洋食化」を指導した点は良く分かった。
一方 本当にしたたかだったのは庶民である。上から与えられた肉食やパン食を 「とんかつ」や「あんぱん」といった 自分達の食文化に引き付け、MODIFYして 全く独自の「洋食」を作り上げた精神は実に闊達であると思った。
実際 日本の食事は 世界に例を見ないほどの「雑食」である。加えて 自分達で勝手に インスタントラーメンや カツカレーを作ってしまう程だ。
そんな自由な精神は 例えば自動車産業などにも見られるのだと思う。「物真似が上手だ」と よく言われるらしいが それもそれで 溢れる才気の一つなのだと思う。