常々頭をよぎりながらピントが合わずにいたことが、先頃16話を視聴中俄にピンときた。北村くんが公然と生徒会長に告ってのけた時、高須の視線の先で俯く大河の後ろ姿を見た瞬間。《車寅次郎だ!》「手乗りタイガー」こそ女子高生版「寅さん」ではないか? と。(トラ繋がりかと目から鱗だったり…。)
学園モノ、ラブコメ。そんな言葉がしっくりくる「とらドラ!」。重さや格式、リアリズム。どれも欠いている気がするのですが、「とらドラ!」は易々とそれをかなぐり捨て、やっていることは生真面目に青かったり、無様で恥ずかしかったりするのですが、コメディらしいデフォルメで果敢に武装し等身大の熱血純情を夢見る。極端に味付けされたキャラの行動・言動は良く言えばダイナミック、悪く言えば荒唐無稽ですが、ステロタイプに墜ちることなくキャラ立ちは冴えている。覚えのある感覚をデフォルメしたプロットで見せるから、リアリティは無いけど嘘臭くはない。虚構の中に甘美な郷愁が漲り、何気ない校舎の片隅、ささやかな会話の端々にピキっと走る既視感? 小難しい哲学より素直な愛着で培われたかけがえない時への愛しみ。不器用な面々の悲喜こもごもの泣き笑いを喜劇と言う、当たり前を再認識させるあったかさが「とらドラ!」の魅力かと思う今日この頃です。「ツンデレ」「ラブコメ」そんなキーワードに事欠かないけれど、他者への思いやりを大切に、実は恋愛より友情に重きを置いている。それが清々しいぶん不器用さがもどかしくもありますが、作り手の信じる理想に乗っかってペーソスのなかにも美しい真理を読み取りたくなる。