近年つとになじみになった言葉でいえば「納棺師」である。
主人公イーヴィのおばさんの仕事だ。
報酬や見返りを求めないので、仕事というよりは「人助け」かもしれない。
映画
『おくりびと』でのうつくしい所作と
生前のそのひとらしさを生かした死装は、まだわたしたちの記憶に新しい。
母親が亡くなり、おばといっしょに暮らすことになった少女の
こころの変化と成長を、その一年を通して細やかに描いている。
19世紀半ばのアメリカ開拓時代の物語だが、
日本でもまだ家族や集落の女性が納棺の支度をするところがある。
防腐の技術が進むにつれて、それは男性の仕事となり、
悲しみに暮れる家族の代わりにというよりは
忌み嫌われる作業の代行という形になって行ったのだ。
欲を言えば、亡くなったひとがまだ生きてるようだという見た目の話だけでなく
血の通わなくなった死体がどのくらい冷たいものなのか、
実際に触ったひとでなければ伝えられない驚きも書いてほしかった。
死者を悼むということがどんなことなのか、
経験の浅い読者にはもっと感じられただろう。