日本では、金持ち本と下流社会本が売れているというが、金持ち本の中では、ものすごく示唆に富んだ本である。
題名としては、「資産家に学ぶ」とした方がよいぐらいである。
金持ち本では、いかに収入を伸ばすかにフォーカスしているものが多いが、本書は、資産家は、徹底した支出管理と投資で資産を蓄積していることを示し、実際、誰も大金持ちと思わないような大変慎ましい暮らしをしているとしている。
逆説的に、「フィナンシャル・プランナーで倹約を奨める人はいない。彼らは得てして視野が狭い」とまで語っている。
ほとんどの人に耳に痛い(であろう)記述は随所にある。
・期待資産額は年間所得×年齢を10で割った額(とても足りない・・・)。
・高額所得者では、学歴と資産は反比例する(医者は蓄財に弱いそうだ)。
・高所得・低資産タイプは、費目毎の支出状況を把握していない。
・競売人の35%が億万長者。彼らは、消費財が買った値段の数%でしか売れないことを知っている。だから彼らは無駄遣いをしない。
・高級住宅地に住むだけで、見栄支出が増えていく。
・新車を持つのはプライド。プライドにお金を払う価値はない。平均的な億万長者が車に使う額は、資産の1%以下。
・金持ちほど投資に時間をかける(億万長者はじっくり型)。
・専任の税理士を持つことは資産形成面でプラス。大手の会計事務所に一度就職してから、独立して事務所を開業している人が良い。
・母親が専業主婦の家に育った娘は、「お母さんも働かなかったんだから、私も働くことはないわ」と、無意識のうちに他者依存の教育を行っている可能性がある。
つまり、そもそも目標が違うということである。蓄財優等生は「何かをゼロから築き上げること、金を貯めて自立すること」が目標であり、劣等生は、「ステイタスの高いライフスタイルを誇示する」ことが目標である。
ほとんどの人が後者のタイプを志向していると思うが、やはり人生ある程度楽しめば、蓄財優等生が持つような目標に従った生活スタイルに舵を切ることが必要である気がしてきた。
問題は、若いときからでないと間に合わないのか、楽しんだ後からでも間に合うのかである。
なお、後半部分には、自立した子供になってもらうにはどうすればいいか(下手をすれば人生最大の悩み)が書いてあるのがおもしろい。
まず、挙げられるのは、親からの金銭援助の是非である。
結論的には、親から援助を受けていない人の方が多くの資産を築いている。
この理由は、1)与えられたお金が貯蓄よりも消費に使われる、2)支援を受ける人ほど親の資産を自分の資産と同一視しがち、3)援助を受けている子供の方が投資をせず、借入金に便りがち、だそうである。
重要なポイントは、「自立した人間になってもらいたいと思うのなら、遺産のことはなるべく口にしない」、「子供に両親が金持ちだと絶対に教えない」ということである。