2010年秋のツキノワグマの里への出没数の多さや人的被害がニュースを賑わせている。ドングリ凶作の年まわりで山に餌が無いのが原因とされるが、それだけではないと考えさせるに十分な説得力を本書は持っている。
ツキノワグマと人との境界線が下がり、まさに私たちの「となり」にツキノワグマが息を潜めている現実を、宮崎学の自動撮影カメラは淡々と記録し続ける。そのおびただしい数、子育て中の親子、耳タグをつけた放獣個体。奥山でひっそり暮らすとされるツキノワグマが、人の生活圏で怖れもなく生活している現実に戦慄する。
ダイナミックに変化し続ける自然界の中で、現代のツキノワグマがどのように生きようとしているのか、誰も教えてくれなかったその真実をこの本は教えてくれる。黙して語らない自然。その知られざる一面を明らかにした、これは衝撃の写真集である。