『銀河英雄伝説』『アルスラーン戦記』などの人気シリーズで知られる作家、田中芳樹(たなか よしき)が、子どもが読んで楽しめる本ということで、ざっくばらんに語っていく第1部「本ってこんなにおもしろい!の巻」。紹介されている面白本は、次の三つの条件に当てはまる物語から選んでいます。
1.外国が舞台であること。
2.現在と別の時代設定であること。
3.子どもが登場しないこと。
なので、『宝島』や『奇巌城(きがんじょう)』は3番の条件により入っていないけれど、『海底二万里』や『地底旅行』『ゼンダ城の虜(とりこ)』といった作品は堂々の入選。インタビュー形式で、「この物語は、こういうところが面白いんだなあ」「この作品の楽しみ、うまさは、これこれこういうところにあるんじゃないかな」と、田中芳樹が自由に語っていくんですね。
とりわけ、「H・G・ウェルズの『透明人間』のサスペンスフルな展開は本当にうまい! 舌を巻きます。もう、感動するしかない」と絶賛していたのが印象に残ります。「そんなに面白かったか」と、久しぶりにまた読んでみたくなって、偕成社文庫本を注文しちゃいました。
この第1部以上に楽しめたのが、本好きの作家仲間と対談した第2部でした。柳 広司(やなぎ こうじ)との、「ぼくらはこんな物語を読んできた」(2008年5月 理論社会議室にて)。久美沙織(くみ さおり)との、「目からウロコが落ちまくり」(2008年8月 軽井沢にて)。漫画家・藤田和日郎(ふじた かずひろ)との、「ヒーローはフィクションの中に」(2005年6月 田中氏事務所にて)。
なかでも、久美沙織と田中芳樹、藤田和日郎と田中芳樹、それぞれの対談が読みごたえあり。あちこちに素敵な言葉、頷かされる言葉があって、「うんうん、そうなんですよね」と共感しておりました。
本書の題名になっている「とっぴんぱらりのぷぅ」というのは、「はい、これでおしまい」と「さあ、もうおやすみ」を合わせたような意味を持つ秋田県の方言なんだそうな。第1部の12回にわたるインタビュー、それぞれの回を締めくくる言葉として、この「とっぴんぱらりのぷぅ」が使われています。
てなところで、このレビューも、とっぴんぱらりのぷぅ。