畑違いの出版社をヤクザが見事に立ち直らせるサクセスストーリー。運に恵まれて、雑誌の売り上げは好調、所轄のマル暴の刑事や地元の暴力団との軋轢も最後には丸く収まる。ご都合主義の小説のようだが、それを感じさせない筆の勢いがある。昔の仁侠映画のような台詞も、滑稽なようでありながら、なぜか泣かせる。やってることにリアリズムはないし、現実にはこんなヤクザは存在しないのだろう。こうも簡単にとんとん拍子に都合よく行く筈がない。でもこんな人たちが本当にいたら応援したくなる、うまくいってくれと願わずにはいられない、そんな暖かさが感じられる。3年ぶり読み直してみたが、やはり面白いのは、構成が上手いのと、代貸の日村誠司が魅力的だからだろう。
理屈抜き愉しめる方、リアリティを追求しない方なら読んで損はない。