中国の最高実力者は、毛沢東、トウ小平、江沢民、胡錦濤と続いている。このうち、党総書記や国家主席に就任していないのはトウ小平だけ。失脚しても必ず復活する不死鳥であり、中国の経済発展をもたらした改革開放を導いた人であり、天安門の弾圧者でもあった。この複雑怪奇な経歴を持った人を理解するためには、肩入れしたり突き放したりしてはならない。
ヤンは、彼の周囲にどういう状況があり、何を考えた上で、どういう決定をしたのか、その結果何が起きたのかを、検証可能な資料の根拠に基づいて記している。記述は淡々としているが、後に付会されたり脚色されたりしたことを削ぎ落し、実際に発生した生の事実が何であったのかを探求することについて膨大なエネルギーを費やしている。その記述スタイルは、トウ小平の生い立ちから死まで一貫して続く。
学問的良心に根差した良い本を読ませてもらった。