因果律を越えたところにも怖さがあるみたいです。
知ってはいましたが食指が動かなかった「てのひら怪談」ですが、1年ほど前
に古本屋でたまたま見つけた「てのひら怪談〈2〉」(古本なのに結構高かっ
た)に愕然としまして――、正直疑問符ばかりで何が良いのかさっぱり。無駄
金使っちまったと。まあ、確かに怖いものもあるんですが、酔った表現で満足
していたり、唐突に落として意味ありげだったり、非常に印象が悪かった。
読者不在に感じたんですね。「ほら、ちゃんと読み解けよ」と言われているよ
うで。なので「てのひら怪談〈2〉」レビューは茶化して、貶して、鬱憤晴ら
しの勢いで書いちゃいましたね。
それでも、まあ、怖い系は好きなのでやはりちょくちょくと目に付く。そして
目にする内にふと思ったんですね。自分は因果律が好きなのだろうと。日本人
は仏教思想や道教の影響が下地にありますが、「こういう原因で、結果こうな
った」と「恐怖」にも原因と結果を求めていたと気付いた訳です。まあ、簡単
に言えば「オチ」ている話がよいと。
この本は、原因に怖さを求め、結果に怖さを求めると、おそらく全然怖くない
話ばかりです。私の場合ですが――、「なんのこっちゃ?」でした。因果律に
忠実な事は、やはり美しいですしね。ただ、因果律を無視した先にあるものは、
混沌として掴みどころがない。実は、そこが怖い。理不尽でも傍若無人でもま
かり通る、というかそれが常態であること。当然、やはり人間の悲しさか、単
なる混沌ではなく、一見不条理の中にある人外の理を感じると特に怖いですね。
ふと思い出すのは、昔、粘着系の鼠捕りの上でネズミが死んでいた事です。
腹の皮も、足も、手も、至る所くっついて離れないネズミは、腹が裂けるのも
無視して粘着シートの上を這ったのです。最後は、内臓まで引き摺りだして無
残なものでしたが、鬼気迫る精神性が人の理解を越えていて驚愕したものです。
ま、例えが悪いかも知れませんが、私自身、人があずかり知らぬ精神性や理を
感じ取る事が、多少でも出来るようになってきたのかもしれません。
しかし、やはり自分とは合わない話も多いので☆5は勘弁。