枕草子や徒然草をはじめとした古典から教えられる前向きに生きるヒントをやさしい語り口で綴った充実の一冊。
枕草子から教えられた前向きに生きるヒントの一つは、楽しみ上手、喜び上手であること。
「楽しみ上手、喜び上手の人とは、自分の心をアクティブに、プラスの方向に向けることの上手な人、たとえマイナスに心が向こうとしているときでも、自分の意志でプラスの方向にネジ向ける、いわば、心のバネのよく利く人と言えるだろう」と著者はいう。
心のバネとは面白い表現。これは意識して自分のなかに作り上げていくものだろう。
そのためには、五感を大切に丁寧にものやひとを見る習慣が大切と説く。
落ち込んだ時に、明るい方向へパッと弾き返す心のバネを持っていた清少納言。
枕草子にはそんな彼女の前向きに生きるヒントが隠されたようだ。
徒然草から教えられた前向きに生きるヒントは、「世の中の事象は、すべて不定」つまり、いつ、どんなことが起こるか分からないから、「存命の喜び、日々楽しまざらんや」つまり生きていることを喜び、日々を大切に扱わなければならぬということ。
夫を旅先の温泉で急に亡くし、息子には病で先立たれたという著者(清川妙さん)。彼女はそれにもかかわらず前を見据えて生きていく強い精神を持っているのに心底驚かされる。この強靭でしなやかな精神につながる人生哲学を教えてくれたのが、徒然草だという。
著者はきっと、「存命の喜び」をあえて意識し、いつでも人生「進行形で」、前を向いて生きていっているのだろう。
「進行形のままで」と題されたエッセイはこの本のなかでも特に迫力ある文章で胸が熱くなった。
前向きな生き方をするための沢山のヒントをもらえた良書。
そして、古典ってこんなに魅力的だったのかと気付かされた。
本書を読むと、女性なら枕草子を、男性なら徒然草を読み直してみたくなるに違いないと思う。
(実際、私も本書の読了後に徒然草を読み始めました。)