素晴らしいアルバムだと思う。
まずメロディが素晴らしいし、曲も、の子の音楽的な影響の多様さがうかがえて興奮する。
曲自体から影響関係を探り出すのは容易かもしれないが、全てバンドの一種歪んだフィルターを
通しているため非常に統一感がある。
そして、その歪んだフィルターこそ、彼らの表現の最も重要な部分であり、人の心を打つ理由に他ならない。
この国には、レディオヘッドやアーケードファイアのように、
知性で世界を相対化しながら表現できるバンドはほとんどいない。
いてもアンダーグラウンドな存在にとどまってしまうと思う。
基本的に、売り上げである程度勝負できるバンドは、政治性が皆無である。
それは必ずしも悪いことではないと思うが、ロックのある種の切実さ、リアルさが、
日本のメジャーシーンには欠けているような気もするのである。
皆、システムの中でどのように「前向きに」あるいは「やり過ごして」生きてゆくかばかり歌っている。
そうすると、唯一、先に述べたある種の政治性を帯びたリアルな表現が可能となるのは、
最もこのシステムに追い詰められ、弾き出された人間によるそれとなるのではないだろうか。
今の神聖かまってちゃんには、そういう意図しない(?)政治性がつきまとっている。
「いやだ!もういやだ!」の絶叫の圧倒的なリアリティは、そういうところから来るのかもしれない。
いずれにせよ私は、その切実さに心底打たれた。
私には、人生応援歌ではなく、こういう、システムに振り回されている人間による、
「日本語の」切実な表現が必要だった。
そんなバンドがこれだけの質と量(みんな死ねも含めて)の曲を一気に放り込めば、
今のこの国の退屈な音楽シーンが揺らがないはずはない。