(主として)アメリカ文学に出てくる食べものを枕に、作品を紹介するエッセイです。おいしそうなものから、これはどうか…というものまで、24のエッセイがメニュー仕立てで読者にサーブされます。
柴田氏の訳書は、どんなガサツな世界を描いていても日本語の品のよさが絶妙で心地いいなぁと思いながら手に取るのですが、このエッセイの中で紹介される作品の食をめぐるシーンの部分訳(ほとんどが氏の手になるものですが、他のかたの訳文も紹介されています)はもちろん、地の文も軽やかで品よく(さらに磨きがかかっているように思います)、すいすいと読み進められます。ゼーバルトやダイベックはひととおり押さえてらっしゃるというかたも、まったく手に取ったことがないかたも、さっぱりと楽しめるように思います。
加えて、装丁と構成がシンプルなようで凝っていてとても愛らしいのです。角川書店さん、ナイスデザインです。目次のメニュー仕立てにふふっと笑い、地の文が明朝体、作品の訳文が教科書体と、各ページに見た目でアクセントがついていることに嬉しくなります。吉野朔実氏の手になる表紙と口絵のラブリーさも2重マルです(巻末のあとがき対談も楽しい)。柴田氏?と思われるメガネ男性がほぼ毎回描かれています。
手にとってから読む途中、読後まで楽しめる1冊でした。大事に作っている(本当はどの本もそうだと思うんですが)作り手の思いもびしびし伝わってくるので、☆5つです。