ときは幕末。蓬莱屋なる飛脚問屋に所属する飛脚たちを主人公にした連作短編集。本作以降も蓬莱屋シリーズとして書き継がれているようです。
主人公たちはいずれも、クールで機転が利いて、クールさの裏には人情を秘め、度胸とそこそこの腕っ節があって、難儀な目に合う弱いものをしょうがねえなあとこぼしつつも見捨ててはおけない、、、、、。時代小説に出てくるええ男の定番のひとつでしょう。
飛脚なので当然舞台は江戸にかぎらず、各地方になります。主人公たちの目から見た、その地方の描写がいい。地形から家の造りまで、普通の人じゃそこまで観察はしないだろという細かい部分まで、きっちり見落としません。実用的で抜かりのない職人の目です。
もっともそれが会話になると、なにせ皆抜かりがなく一を聞いたら十を知るのが当たり前なので、一を聞いたら一を知るだけのおれは、ときどき筋を追いきれなくなるのですが、、、。
表紙の画がいいです。これぞええ男やね。渋いっす。