登場する17人は、みんななにかの形で生物多様性に関する活動をしたり思想をもったりしている。
生物多様性とは、いろんな生物が食べる食べられるなどの関係を保ちながら共存している状態のこと。「これが生物多様性だよ」と目にするものではない。そんなこともあってか、17人が生物多様性という言葉でがっちりと結びついている感はなく、おのおのが柔らかくつながって1冊の本となっている。
さらに読み終えてから、この本の深い意味はこうなんじゃないかと思えてきた。それはこんな感じ。
人間はわがままに生物多様性の秩序を乱してきた。そんな人間も生物界の一員だ。とすると、人間の自然破壊行為も、ホモサピエンスという一生物の生態として捉えることも可能になってしまう。モグラは移動するとき土をほじくり返す。キツツキは巣作りのために木をトントン削って穴を空ける。人間が山を削り、森を減らすのも同じじゃないかと…。
けれども決定的にちがいがあるのもまたたしか。規模のちがいもあれば、人工化学物質を使っているかのちがいもある。さらなるちがいはこうだ。人間はその行いが何を意味しているのかを知っているのに対して、生物はたぶんそれを知らない。
生物多様性についても、つまり人間以外の生物はおそらく感じていない。と考えると、結局この本に書かれているすべてのことは、人間自身の考え、行い、自然への接触という話にたどりつく。つまりこの本は自然環境がテーマでありながら、人間のありようを問い掛けた、人間が主題の本なのだ!
では、生物多様性を荒らした人間は、その落とし前をどうつけるというのか…。
プラスチックも化学薬品もやめて、人間以外の生物の生態にまた同化すれば生物多様性は徐々に元に戻っていくかもしれない。それができないならば、科学技術などの人工性で生態系を元に戻していくしかない。人間は、こうも人間以外の生物とかけ離れた存在なのだ!
最初は、ナチュラリストたちの自然保護活動を紹介する本だと思った。それは合っていたけれど、読後それに加えて、ヒトとは孤独で、メタ的で、自己完結的な生物であることよと気付かされた。生物の中でのヒトの位置付けを考えさせられた本。