売れないタレントが2人か3人で1組になって、電車やバスを乗り継いで、温泉地にある高級旅館を訪れ、バスタオルを巻いて温泉につかり、有り余らんばかりの料理に舌鼓を打ち、「一泊二食、1万9800円! 安ーい」なんて言って帰ってくる。慌てて行って、慌てて帰り、1人1万9800円なんて安くもなんともない、と私は思っている。食べきれない量を出して、その分も金をとろうとするから、日本の観光地はすたれるのだ。
その点、ここに出てくる温泉地に出てくる人たちは、温泉に入って本当に楽しんでいる。泊り客が自分たちで賄いをしながら湯治する。そういう時代の温泉地を巡ったエッセイ。今、これらの温泉地はどうなっているのかな。地味な温泉地ばかりだから、今もそのままか、変わってしまったか、あるいは無くなってしまったか・・・。
温泉地を巡ったときのエッセイと、スケッチと、自伝と、夢日記が合わさった1冊。つげ氏って、意外と普通の人だったのね。