本書の「解題」によれば、作者の自伝的色彩が強い作品集とのこと。
貧困、格差、DV、子どもの虐待が、蔓延していた戦後の東京の下町。
貧乏な母子家庭の子どもの、「生きる」とことの大変さと必死さ。
赤ん坊を背負って海産物の行商をして一家を支える母。
兄弟で耐える空腹な夜。
義父からの体罰と虐待。
小学校を終えてすぐ、当たり前のように就職した町のめっき工場。
漫画家になって後の、行き当たりばったりのアルバイトや、女性の「ヒモ」のようなことをして食いつなぐ生活。
失恋と自殺未遂。
読んでいて、胸が締め付けられ、切なくなることもしばしば。
「生きる」ということは、計画どおりにいくものではない。
きれいごとだけ語れるわけがない。
そのころより格段に豊かになった現在でも、それは変わらないのではないか。