現代日本を代表するランドスケープデザイナー長谷川浩己氏と著書「コミュニティーデザイン」で一躍時の人となったコミュニティデザイナー山崎亮氏が建築から哲学まで各界の気鋭の論者たち9人と行った対話の記録。ランドスケープデザインとは元来造園を意味する言葉であったが、そのテリトリーは広く、小さな箱庭のデザインから地域デザインまでを対象に人々に幸せを感じさせることを目的とする分野を意味するようになった。編者二人はいずれもランドスケープデザインを学びそのデザイナーとしてキャリアを重ねてきたが、長谷川氏は公園や広場の設計や、リゾートの設計などを通じてハードをデザインして作ることを主たる専門分野としてきたのに対して、山崎氏の方はそれらを使う人々の行為に関心が深まるにつれて、実際にハードを作るよりも使い方のソフトをデザインすることに関心が移りハードはほとんど作らないようになってしまった。それが本書の題名に反映されているのである。9人のゲストの半分はアート系のデザイナーであるが、注目されるのは公共政策学者として名高い広井良典氏や幅広い分野について臨床哲学の手法でアプローチで挑戦している鷲田清一氏との対話である。居方研究家の鈴木毅氏や働き方研究家の西村佳哲のようなマージナルな分野で考察を進めてきた人々との対話も興味深い。ともあれ、この本の中にはいろいろな思考をいざなうヒントに満ちた言葉がちりばめられている。特にこれから建築や都市計画、あるいは造園を学ぼうとしている若い人々に強く購読を薦めたい。