本シリーズは、著者の年齢による衰えか、はたまたその情熱の衰えかは分からないが、次第に中身が薄くなる。
しかし、そのシリーズ第一作と第二作の合本である本書は、著者の意欲満点の時期のものであり、本格マイントあふれる傑作である。
著者が信奉する綺堂「半七捕物帖」にならって、江戸の四季や風俗を織り込みながら、しっかりとミステリになっている。
そして、のちにはセンセーとマメゾーばかりが活躍するようになってしまう長屋の連中が、それぞれの特技を生かして、みんなで活躍する。
つまり、グループ探偵ものにきちんとなっている。
これが、実に楽しい。
それぞれの特技を生かした活躍の場を与える、というのは、口で言うのは簡単だが、ミステリとしての完成度を保ちながらという制約のもとでは、なかなかに難しい。
リーダーとしてのセンセーの能力が、本書では十分に発揮されている。
そして、ミステリとしての完成度、意外性もともかくだが、本書には江戸が存分に描かれている。
巻頭の鎧の渡しから、祭、下町、花見等々、江戸の四季折々が、鮮やかに描写されている。
このあたりも、シリーズがすすむと薄くなるのだが、本書では、まさにヴィジュアルである。
怪異を信じていた時代を背景に、その怪異にロジックで立ち向かうという、まさに捕物帖のお手本だ。
語り口も、そしてその中に仕込まれた遊びも、シリーズ中では本書が最高である。