昭和40年代連載当時、一世風靡し、若者たちの間で聖書〈バイブル〉と評され、数々の伝説を打ちたて社会現象にもなったボクシング漫画の金字塔であり、漫画史に残る不朽の名作『
あしたのジョー』!
連載が終了し、30数年の歳月が過ぎ去った今日においてもその人気は留まる事を知らず、また、『
あしたのジョー』に関する書物は古くから現在に至るまで数多く出版されているが(近年では熱血漫画家・島本和彦氏の『
あしたのジョーの方程式』が記憶に新しい)、今回は『
水原勇気0勝3敗11S』の著者でマンガ・データ主義解説評のパイオニアである豊福きこう氏が上記に述べられたちばてつや氏のインタビューをヒントに連載期間(注:発売日)の昭和42年〈1967年〉12月15日〜昭和48年〈1973年〉4月20日までの1954日の記録をこれまでに発表された、ちばてつや氏の膨大なインタビュー記事や文章を調査して関係者の話などで検証し、整理しながらまとめられた本書は作者の当時の心境がより克明に描かれた、まさに完全オリジナルの“ちばてつやの『ジョーの日記』である。
ジョーの宿敵・
力石徹も当初は少年院時代のライバルとして登場させたつもりが、ちば氏の描く力石があまりにも魅力的であったために原作の
梶原一騎(高森朝雄)氏がジョーのライバルとしてボクシングのリングで闘わせようとした事から力石の有名な過酷な減量の挿話が生まれた事、また力石を死なせたショックで悲しみに暮れるジョーの姿を描いているうちに作者自身も憂うつになり、ストレスから十二指腸潰瘍となって休載を余儀なくされた事、また真っ白に燃え尽きた有名な
ジョーのラストシーンのヒントとなった乾物屋の紀ちゃんに語るジョーのせりふについても作者自身が最終回を迎えるまで
その挿話を描いていた事をすっかり忘れていた事など
ジョーの創作秘話に関しては今まで数多くのメディアや出版などで語られているものの今回、時系列にまとめられた事によって新たな真実が浮かび上がり、ジョーの裏話については結構それなりに知っていた自分にとっても大変興味深く堪能した。
最後に改めて『
あしたのジョー』という作品の素晴らしさの背景に作者が
ジョーと向き合いながら、心血を注いで描いていたからこそ作者の想像も出来なかった奇跡的な作品が描けたのだと思います。