名人戦、クィーン戦に賭ける全ての人の情熱が丁寧に描かれた巻です。
千早、新、太一はもちろんですが
普段であればけして目立たない脇を固めているキャラ達の
頂点を目指す者の不安と、孤独と、諦めと、僅かな期待と
そして何よりかるたに対する原点の気持ちが丁寧に描かれています。
いつもどおりに振舞いながらも
原田先生の捨て身の期待と、自分自身の
名人戦への目標が脆くも崩れ落ちた途端に
原田先生の腕の中で、音も無く泣き叫ぶ広司さんの姿が
素直に描かれていました。
そして、たとえ名人戦、クィーン戦挑めたとしても
目の前に手が届きそうだった最高の位に
やっぱり手が届かず
そしてまた、挑戦者として頂点を目指す日々を選んだ
ユーミンの、静かな決意と
努力に努力を重ねたとて
頂点とは、簡単に手に入るものではないという
妙なリアルさが
主要キャラである、千早と太一と新の目線で描かれています。
千早への感情をはっきりと自覚する太一。
クリスマスの夜「ここにいたらいいのに」と
新に携帯をかける千早。
新とのほんの数秒の会話のために、
千早を突き動かす感情の本質を
ほんのすこし匂わせるだけの手腕は本当に見事だと思いました。
ただ、この巻でも相変わらず新はかるたの事しか頭にないので(笑)
この3人の関係が複雑になるのはもう少し先みたいですね。