当書に登場する会社は、著者の坂本光司・法政大学教授がプロローグで述べているように、「いずれも社員の数が最大でも30名程度の小さな会社ばかり」で、「なかには社員数名の会社、家族だけで経営している会社」もある。しかし、「規模は小さいけれど、本当に誇りにしたい会社、学ぶべきことの多い会社ばかり」なのだ。当著では、「人を助け、幸せにし、人に喜ばれる仕事をしている」、具体的には「利益よりも奉仕を先に考え、社員を大切にし、お客様を幸せにすることに一生懸命になっている」(エピローグ)8つの会社の感動的な物語を紹介している。
この8つの会社とは、「小(お)ざき」(稲垣篤子社長、東京・吉祥寺)、「ハッピーおがわ」(小川意房社長、広島・呉)、「丸吉日新堂印刷」(阿部晋也社長、北海道・札幌)、「板室温泉大黒屋」(室井俊二社長、栃木・那須塩原)、「あらき」(荒木孝昭社長、熊本・城南)、「高齢社」(上田研二社長、東京・秋葉原)、「辻谷工業」(辻谷政久社長、埼玉・志木)及び「キシ・エンジニアリング」(岸征男社長、島根・出雲)である(代表者名等は刊行時)。どの会社も素晴らしいストーリーを持っており、しかも「日本企業のあるべき姿」(エピローグ)を身をもって示してきている。
各章末には、前述の会社から学ぶべき点が要約されているが、これからの「日本企業のあるべき姿」とは、まさに本著にあるような会社ではなかろうか。そして何より、「会社は、人の幸せに貢献するためにある」ということを再確認する必要があろう。この本に出てくる会社は、障がいのある或いは高齢の方を含めた、人々に心から喜ばれる製品やサービスを探究し、それらを提供する経営を行っている。そこには実は、私たちも気付かないような大きな
ブルー・オーシャンが広がっているのだ。「規模は小さいけれど、本当に誇りにしたい会社」から得るものは多い。