最初に読んだときは、ヒロイン(23歳)より若かった、そして今、
ヒロインの年を10ほど越えてしまって読み直しても、やはり感想は変わらなかった。
やっぱり、この話、せつな過ぎる・・・
平凡なりに自分に合った仕事を見つけ、恋人とも穏やかな関係を築いて幸せに
なりつつあったヒロインの前に現れたかつての女友達。彼女は不倫の恋でつまづいて
自分を頼ってきたのだ…ヒロインも彼も、困っている人を見たら助けたい、と思う
健全ないい人たちだ。だけど、だんだん、何かが変わってくる。友達が彼を見る目、
そして、彼が友達に見せる優しさ…これで、ヒロインの友達役が略奪する気まんまんの
厚かましい悪役だったらよくある話なのだが、彼女は、ヒロインのことも大好きな
本当に普通に感じのいい女の子なのだ、前の恋にしくじっただけで。というわけで、
誰も悪くないのに少しずつ関係がひずんでいくそのじわっとした感じは
ジェットコースター的に落ちるより怖い。そして切ない。ヒロインは最後まで自分に
誠実であろうとする。その迷いつつも清々しくいたい、という清潔さが小説全編に
漂っていて、ドロドロしていないのもとてもいい。