本書の著者は森口 豁さんという間もなく70歳になるジャーナリスト。ドラマ「瑠璃の島」にもなった「子乞い」の著者です。自分がいまなぜ「だれも沖縄を知らない」を読んだかというと、我が国において最も福祉の必要な地域の一つが沖縄だと考えてるからです。自分自身これまでに沖縄には5回ほど足を運んでいてその海の美しさ、食べ物のおいしさといったものにすっかり魅了されていますし、近年、沖縄からやってきてそのアイデンティティで持って活動をする「モンゴル800」や「やなわらばー」といったミュージシャン達にも魅了されています。しかし自分には観光客や本州の沖縄好きが見て憧れるだけではない別の沖縄もあるような気がし続けておりました。今回、この本を読んで、その感じ続けたわだかまりのいくつかが具体的なものとして自分には繋がったのです。本書では沖縄の人達が歴史の中で、そして現在も直面し続ける社会と、福祉と環境の問題が語られます。沖縄の問題は「本土の犠牲問題」ばかりが左翼的に宣伝されております。しかし、沖縄問題を深刻で根深い問題にしている要因として「域内対立問題」、「構造的貧困問題」でもあることが本書を読んではっきり見えてきました。今後、沖縄の福祉と環境を考える上でこの「域内対立問題」と「構造的貧困問題」に立ち向かわなければ解決されないことが多く、それは同時にアジアの辺境でもあり、アメリカの辺境でもある日本全体がこれから迎える未来の問題と通づると僕は思います。