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だれのための仕事――労働vs余暇を超えて (講談社学術文庫)
 
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だれのための仕事――労働vs余暇を超えて (講談社学術文庫) [文庫]

鷲田 清一
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容説明

仕事と遊びの二分法が無意味になりゆく現代、我々の活動とその価値はどう方向づけられるか。ポスト産業社会の、労働の未来像を探る。

内容(「BOOK」データベースより)

たのしい仕事もあればつらい遊びもある。仕事/遊び、労働/余暇という従来の二分法が意味を消失した現代社会にあって、わたしたちが生きることを支えているものはなにか、それは「働く」ことと「遊ぶ」こととどのようなかかわりがあるのか―。人間性の深みまで掘り下げて労働観・余暇観の歴史にせまり、人間活動の未来像をさぐる、清新な労働論。

登録情報

  • 文庫: 208ページ
  • 出版社: 講談社 (2011/12/13)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062920875
  • ISBN-13: 978-4062920872
  • 発売日: 2011/12/13
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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By hajime
はたらくとはどういうことなのか。価値を追い求める社会-システムと私たちの関係、そして価値に、意味に、憑かれた「前のめり」な人々。そしてもちろん他者との関係。変わらず平易な言葉であざやかに社会の構造を解きながら、未来にむけてのあたたかい希望が込められた鷲田先生の文章。96年刊の文庫版ということですが、今日、震災以後の状況、社会をどう建て直していくかという課題を抱える私たちにとって極めて示唆の多い本であると思います。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
ロック、アダム・スミス、マルクス等によって理論化された、労働主義=勤勉の論理が遊びにまで浸透した現在、労働に価値を見出すためには、他者の他者として存在する自己に対する「他人の承認」をキーワードにするしかないだろうという筆者の主張には共感できる部分がある。とりわけ、「人間の活動が労働として普遍化し」「より効率的な生産を目指さなければならないという強迫観念、もはや『禁欲』としてすら意識されないこのインダストリー(勤勉・勤労)の心性は」「<労働>フェティシズム」であり、業績主義である。このような考え方においては「『遊び』は時間のたるみ、時間の浪費として意識される」のであり、「<労働>が人生の軸とな」り「活動のモデルとなる。」(P50〜52)というくだりにはハッとさせられた。他にもハッとさせられる記述が沢山あり、久しぶりに考えさせられる本、面白い本に出会えたという印象である。ウェーバー、ロック、フーコー、アレント、ボードリヤール、リースマン等の言説を参照しつつ説得的な議論が展開されている。それでいて、文章は大変分かりやすく、脱帽する以外にはない。原本は1996年刊とのことだが、最近書かれたと思われる30ページ弱の「補章」もある。この補章も、単なる後日談やあとがきではなく、その後の社会状況に合わせて、著者の思考を展開したものではなく一読の価値がある。個人的には労働を他者の承認に全面的にかからしめてしまうというのが著者の趣旨だとすれば、やや違和感を禁じえない点もある。しかし、労働や働くこととは何かを考えたい人、働くことに関し悩んでいる人には広くお勧めできる。著者の本はこれで2冊目だが、他の著書も読みたくなった。また、本書で引用されている本の中には読んだことがあるものもあったが、著者のような観点からの読み方もできるのだと気づかされた。
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鷲田は労働と遊びの二項対立の解体に取り組む。労働は苦役となって意義が見失われ、遊びは
労働の合間の余暇になり下がってしまった。この二項対立を克服するために鷲田は、目的論を
離れて労働そのものに意味を見い出すべきだと唱え、具体的な方法をふたつ提示する。家事と
ボランティアである。共通項は、自分が他人にとって意味があるということを確認させてくれ
ることだ。常に何かへ向かい、他人とかかわることで自分のアイデンティティを生成している
という感覚を得られる点に労働の意義が見出されるという。

本書の議論は納得がいくものだが、結論はものたりない。二項対立の一項「遊び」がないがし
ろにされているし、目的論(労働の手段化)ではなく生成途上の感覚に生の充実があるという
主張については、刹那主義に陥るのではないかという疑問がぬぐえない。

本書が1996年に岩波書店から刊行されて15年しか経っていない。しかし、景気のさらなる悪化、
9・11やグローバリゼーション、東日本大震災を経て、時代は変わってしまったという感がある。
こうした現状を踏まえてか、鷲田は本書を2011年に講談社学術文庫から再版するに当たり、
補章を加えて現代の事象に対する解説を行っている。たとえば若者は労働で「自分探し」
の欲望を抱いているが、労働は自分の能力の限界との格闘であり、労働の意味づけをたえず問
い続けることが重要だという。この補章の議論は、本書の議論とあまり整合性が取れていない。
非正規雇用や過酷な労働環境という現状で、ひとは「生きがい」や「自己発見・実現」を労働
に見出すことができるのだろうか。鷲田には、補章で示された現状認識を踏まえて、本書の主
張を改めて語り直して欲しかった。良書であるだけに、その点が惜しまれる。
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