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最も参考になったカスタマーレビュー
18 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ただ、そこに「本」がある,
By 桜 (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: だれが「本」を殺すのか (単行本)
ノンフィクション作家・佐野眞一の作品には、ひとつの共通点がある。それは自分自身の無力さを自覚し、身の丈以上の正義や理屈を振りかざさないことだ。佐野はあくまでも自分の興味といま立っている場所から対象を追う。そんな佐野が「出版業界」に切り込んだのが「だれが『本』を殺すのか」だ。
佐野はさまざまな人に話を聞く。出版界の「ドン」である紀伊國屋書店の松原を始め、ネットサービスや新古書店、コンビニチェーンに小さな書店、大出版社に零細・地方出版社、そして図書館に至るまで、執拗に「本」の現場を取材する。 この作品には「読者」が登場しない。それを批判する声も多い。だが、二年もかけて綿密な取材を繰り返した佐野が、「読者」の問題を忘れたり遠慮するなどということがあるはずない。 佐野が明らかにしたかったのは「本を作り販売する側」の現状である。出版不況を語るとき、誰もが取次や再販制度などの旧態依然とした体質を批判する。しかし、そこにあるのは原因を誰かに押しつけ責任逃れを繰り返す姿だ。それは読者も同じで、自分とは違う「読者」を批判することに終始している。 佐野は自分が出版に関わるからこそ、「本を作り販売する側」にこだわる。だからこの本に「読者」は登場しない。安易に答えを求めたり犯人捜しをすることもない。そして、「本を作り販売する側」の現状が浮かび上がることで、読者は自分を振り返る。あとは、あなたたちの問題だと、この本は問いかける。 「だれが『本』を殺すのか」には問題も多い。コミックスの不在は論を弱めるし、仮説と独断の専行も目立つ。なによりも「文芸書」「学術書」を最上と位置づける姿勢に反感を持つ読者も多いだろう。しかし、そんな欠点を補ってあまりあるほど力強い。取材もせず、既存の情報をもてあそんで批判する「にわか評論家」があふれる昨今だからこそ、現場の取材に基づいたこの作品は輝きを増す。
23 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
消費されてゆく情報,
By カスタマー
レビュー対象商品: だれが「本」を殺すのか (単行本)
近年、本屋さんの店先にはいつも膨大な数の新刊書があふれているというのに、自分が読みたいと思うような本となかなか出会うことができないのはなぜなのか、疑問に思っていました。この本は「読みたいと思う本がなぜ書店の店頭に並ばないのか、注文しても手に入らないのか」という読者のナイーブな疑問に明快に答えてくれます。2年の歳月をかけて全国の「本」の現場で活躍している数百人の関係者に取材した努力には頭が下がります。出口の見えない構造的な出版不況の中、独自の経営感覚で活躍している全国各地の書店主の方たちの生の声に接することができたのは大きな収穫です。「こういう本屋が各地に残っているのなら、いつかその店を訪れてみたい」という気にさせられます。 「図書館」「書評」と章が進んでくると、筆者の歯切れが悪くなってくるのが気になります。関係者の取材はともかく、筆者自身の主張が明確に伝わってこないのです。 筆者自身がいわば利害関係者の一人であることが、問題の全体像の把握を困難にしているのでしょうか。 欲を言えば、この本で取り上げられなかったジャンルの本、たとえば理工系の学術書や専門書などが直面している状況にも切りこんで欲しかったと思います。 秒進分歩の技術を取り扱う専門書と同様に、この本の「賞味期限」はあと2,3年というところでしょうか。この本自身が「消費される情報」として本の洪水の中に呑みこまれていく姿にはどこかしら哀切を感じます。 この本に登場する数百の人名、書籍名、書店名、出版社名などの一覧を出版社のwebサイトからダウンロードすることができます。面白い試みですが、ただの索引にすぎないので、最初から巻末に綴じ込んでおいてくれたほうがこの本の資料的価値が高まったと思えるだけに惜しいです。 この本を読んでから、本屋の店内で「この棚の本を並べているのはどの人だろうか」と観察するようになりました。
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
本を考える,
By
レビュー対象商品: だれが「本」を殺すのか (単行本)
本書は2001年刊行。
1997年頃から始まる出版不況は既に深刻な状況にあり、出版社や書店の破綻が相次いだ。 BookOffなどの新古書店や、このamazonなどのオンライン書店が台頭し、 膠着化した出版流通に風穴をあけ始めたのもこの時期で、本書でも既に触れられている。 6年を経た現在も、この国の本を巡る方向は大きく変わっておらず、 本書に記されている現実と問題点が、一層顕著になっているに過ぎないようだ。 佐野氏は本書で、日本の本の世界を上から下まで串刺しにしてみせる。 中央の大手から地方の草莽出版社まで、全国に足を伸ばす精力的な取材は流石この人らしいジャーナリスト魂を感じる。 綿密な資料調査による"数字"と、数多くの人物との対話による"空気"が融合し、 出版界を巡る問題点が一層説得力を持って浮き彫りになる。 460ページに及ぶ大ルポタージュだが、貪るように読破した。 佐野氏は電子化の到来を、グーデンベルグ以来の出版界の大変革と捉えている。 これには全く同感で、データ化されたテキストの洪水は、書物という物の性質まで変えるだろうと予想する。 今は紙媒体と同等の手軽さを持つデバイスとインターフェースの登場を待望している状況だろう。 要は今は革命前夜と言ったところで、これからどんな世の中が訪れるのか、楽しみでそして不安でもある。 「すぐれた作家とは何か。読者の時間を一時止めてみせることのできる者のことである。 すぐれた作品とは何か。日常の流れに一瞬シワを寄せ、活字から目を転じた時、外界の尺度が読む前と少し狂って見える本のことである」 この一言が特に印象に残った。 無論人によって感じ方は違うだろうし、僕も本書の見方全てに賛同するつもりはない。 とはいえ存分に著者との対話を楽しみ、本について思惟した。 単なる本読みとして、これは非常に楽しい時間だった。
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5つ星のうち 5.0
犯人は
「暴れん坊本屋さん」という漫画を読んだ時には、単純に「そうか、取次が悪いのか」と思ったが、浅はかだった。... 続きを読む
投稿日: 2010/1/20 投稿者: ミノー
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