錯視というのは、とても魅力的だ。
二次元で表現されたものが、三次元や四次元のものに見える。
たとえば、本書にも記載があるペンローズの三角形は、不可能図形の典型的なものであるが、この実物を作成しようとすると三次元では不可能である。
また、二次元の図が三次元的に見える、というものもある。
今はやりの3Dはメガネという補助を借りるが、本書の“だまし絵”は、もちろん裸眼である。
もちろん本書は科学書であるから、不思議だ、で終わるわけではない。
その理屈が数学的に、物理学的に、また生理学的に、適度な難しさで説明されている。
専門外のものには若干難しく感じられる部分もある。
しかし、この理屈の部分が本書のポイントなのだ。
特に、後半部分の立体化された不可能図形がすばらしい。
当然ながら、完全に立体化できるわけではなく、ある点から見たら、というのがポイントなのだが。
この二次元の不可思議図形の三次元化の部分は、読んでいて実に楽しい。
惜しむらくは写真の大きさと画質であるが、これは本書ではいたしかたのないことであろう。
興味のあるひとは、カラー版の類書を探してほしい。
コンパクトなサイズで手軽に読めるところが本書の特徴であり、しかし内容はしっかりと充実している。
錯視のなかでも立体図形に特化した本書は、ちょっとした頭の体操にちょうど良い。