『不思議現象の正体を見破る』『霊はあるか』の著者によるエッセイ集で過去に雑誌に連載されたものを収載している。平易な言葉でわかりやすく、かつユーモアに富んだ表現で時事ネタを解説しており、幅広い読者が対象と思われる。数時間あれば読破可能。
著者は工学博士であると同時に経済学部教授などを歴任している。不思議現象にたいする懐疑的姿勢を貫いた書を多く排出しており、講演やテレビ番組などで、自身によるマジックを披露しながら騙しのテクニックを啓蒙している。また、霊能者と称するタレントにたいして批判的立場を表明し、人々の苦悩をやわらげる効果以上よりもそれによってもたらされる問題が深刻であるとしている。問題の原因を超常的なものに転嫁することで一時の安心は得られるが、根本的な解決にならないだけでなく、犯罪の温床になるとする意見には賛成である。一方で、同氏がテレビ番組などに出演する際の留意事項やポリシーが明示されており、単なるマスコミ御用達の似非学者ではないことを表明している。多面的な視野でマスコミを見る知恵を得るための、メデイアリテラシーの書とも言える。
本全体としては、時事ネタを紹介しているので楽しみながら読むことができたが、本書は同氏の過去の著作をいくつか読んでいる読者にとっては科学的な面での新しい情報は少ない。とくに、科学的な部分がさらっとしか述べられていない点も減点材料だ。科学者の直感が膨大な知識に起因するという話は正しいと思われるが、くだけすぎる表現よりも、きちんとした根拠を示すべきであろう。また、参考書類は明示されているが、どの情報がどの書を参考にしたものかがわかりづらく、より詳細に調べたい読者にとっては不満が出そう。最後に騙されやすい性格を判断するテストがあるが、表現がバーナム効果にそったものもあり、やや疑問。そういった意味で、不思議現象にたいする入門書と分類すべき書である。以上の理由で自分にとっての満足度は星3つくらいだったが、同氏の著書を読んだことのない読者、とくに中高生には積極的にすすめたい書として結果的に星4つ。