知覚心理学を専門とする著者による錯視デザイン指南書。これまでに紹介されている錯視の基本形を分類して紹介し、さらにそれらをもとにして著者自身が作成したより高度なデザインを多数収載している。200ページ弱の分量の約半分は図であり、さほど難しい科学的記載はなく、数時間あればだれでも読破可能。
本著者が作成した錯視図は学問というよりは明らかに芸術の域に達していると感じる。著者自身が我田引水と述べているように、著者が錯視デザインの創始者というのはやや引いてしまう表現ではあるにしても、緻密に構成されたデザインを見ると、錯視図を創作するのが楽しくて仕方がないという気持ちが伝わってくる。『蛇の回転』や『航空ショー』と名付けられた作品は圧巻の一言に尽きるし、『ボート』のように誰でも作れる単純な作品にも驚かされる。
難点は、帯に『その謎に迫る!』とあるのに対し、科学的に何故錯視が起こるのかについては謎のままとなっている点。『感覚と錯覚のミステリー』など他の書を見ても、錯視の原因には未解明な部分が多いとしていることから、著者が勉強不足であるとは言えないが、小生のように帯などを見て購入する者にとってはやや過剰な宣伝かと思う。
ただし、掲載されているデザインについては、非常に面白いことに違いなく、前述の難点を補うだけのインパクトは十分。よって星4つの評価。