タイトルは「だまされる脳」だが、内容はサブタイトルの「バーチャルリアリティと知覚心理学入門」の方に表れている。
脳はどのように世界を認識しているか、それを踏まえて、バーチャルリアリティをいかに作り出すか、という本。
例えば、人間の目はどのようにしてものを捉えているのか。
二つの目による「立体視」というのは有名だが、それだけではないことは例えば片目をつぶってもものが立体的に見えることからわかるだろう。
脳は、視覚情報をもとに、遠近法や陰影、対象の重なり具合、鮮明さ(遠くのものほどぼやけて見える)などを組み合わせて、脳の中で世界が整合的に見えるようにしているのである。
だから、例えば薄暗い部屋でも赤いものはきちんと赤に見える(実際には灰色に近い色でも)
そうした脳の仕組みを利用して、バーチャルリアリティを組み立てたりもする。
3D映像などはまさにそうした知見をフル活用している。
そうしたバーチャルリアリティは、例えば恐怖症の克服などにも利用されているというから驚きだ。
タイトルから勘違いしそうだが、脱線や余談はあまりなく、きわめて真面目に仕上がっている本である。