日本語に翻訳されているブルースマンの自伝は少なく、貴重である。
B.B.は1925年にミシシッピ州で生まれており、当時の農場から話は始まる。比較的、人徳のある農場主に恵まれたようだ。キーワードは、農場、教会・宣教師・ゴスペル、ギター、父との離別(後に再会)と母の死、黒人の生活環境、女性、軍隊など。彼は、白人にステレオタイプな反感を持つことなく、例えば、リンチで死んだ黒人の死体を見て自分は心を砕かれたが、一方、あれは正しい心を持った白人の心をも傷つけたのではなかろうか、と述べている(P.55)。
また、彼の音楽的背景・関心が詳細に語られている。彼は、ブラインド・レモン・ジェファーソン、Tボーン・ウォーカーなどのブルースのみならず、ジャズ(デューク・エリントン、レスター・ヤングなどの黒人だけでなく、白人スウィングのベニー・グッドマンも)や、ビング・クロスビー、フランク・シナトラ、アンドレス・セゴビア(クラシック・ギター奏者)などの他の音楽も聴いている。
彼がどのように名を上げていくのかが語られる他、同時代のアイク・ターナー、エルヴィス・プレスリー、レイ・チャールズのことなども少しずつではあるが語られ、興味深い。ロックンロールやソウルが流行した頃のつらい体験、その後の成功の喜びも語られている。なお、優秀な会計士がついていて、B.B.に5ヶ年計画の策定を勧めており、彼のビジネス面の成功の背景が窺える。
第19章は、「ジョン・レノンが何て言ったか知ってるかい?」。なお、ジョン・レノンのインタビュー「回想するジョン・レノン」(草思社、P.68)、ビートルズの"Dig It"の歌詞でもB.B.の名が出てくるので、ロック・ファンはあわせて読み、聴くことをお勧めする。