本書は、乙武さんが教員になることを決意するまでの、主にこの2年間に出会ったこと、考えたことを示し、教育の現場にどっぷり浸かることを宣言する一書です。
『五体不満足』がベストセラーになった後、乙武さんは「障害者福祉」や「バリアフリー」というイメージとは別の世界に行きたいと考えました。
スポーツライターの職につき、一流のアスリートと出会い、話を聞き、記事にまとめていきます。刺激的な毎日は、充実していました。
何か社会に貢献できるようなライフワークを真剣に考えるようになった頃、マスコミをにぎわす凶悪な少年犯罪が発生し、乙武さんは考えこんでしまいました。
生まれた時から「犯罪者になってやろう」なんていう子どもはいない。なのに、育った環境や出会った人々の影響で道をふみ外してしまう子もいる。
今度は僕が社会に、子どもにお返しをする番なのではないか。
2005年4月、乙武さんは「新宿区子どもの生き方パートナー」という役職の任命を受け、区内の小中学校に実際に足を運び、気づいたことや改善すべきと思ったことを提言する活動を始めました。
あるとき、作家の重松清氏から忠告を受けました。教育者の中には部外者に壁を作る人もいて、重松氏も「おまえに教育の何がわかる。だいだい教員免許を持っているのか」という手紙をもらうことがあるということでした。
教育“界”という業界が部外者の言うことを聞こうとしないのが事実なら、自分も有資格者になって発言してやろうじゃないか。
はじめは、発言資格を得るために始めた教員免許取得のための勉強でしたが、スクーリングや教育実習を経験するうちに、「本当に教壇に立ちたい」という思いがわき上がり、とうとう本格的に先生になることになりました。
本書で挙げた多くの問題に、これからどんな答えをだすのか。
会議室を飛び出した乙武さんの行動がはじまります。