まだDVD-BOXが発売される前からレビューを書くのは、フライングかとも思うが、
待ち遠しいので書いてしまう。
ストーリーは作品紹介にある通り。軽度の知的障害がある「福原柚子」が主人公の
子育て奮闘記である。柚子を香里奈が演じる。これが、うまい。
私が住んでいる所の近くには、東京都の養護施設があり、様々な障害を抱えたかたを目にする。
一見して普通の人と変わらないが、話すとちょっとズレを感じる……軽度知的障害とは、
そういう感じだ。この微妙な雰囲気を演ずるのは大変だったろう。
ドラマで柚子が働く「パン屋さん」は、
この養護学校で長く教員を務めた先生が、「障害者も健常者も一緒に働ける場を」と
オープンさせた「スワンベーカリー」がモデルだそうだ。
(スワンベーカーリーのビジネスモデルをつくったのが、宅急便の生みの親・小倉昌男さん)
言うまでもなく子育ては、ただでさえむずかしい。時には子供を叱らなければならない。
ところが柚子にはこの「しつけ」がわからない。
ドラマでは母親役の岸本加世子が、柚子をサポートする。彼女の圧倒的な演技力も圧巻。
もしこの母親がいなかったら、柚子の子育てはうまくいかなかっただろう。
もちろんこのドラマはフィクションである。実際に軽度の知的障害を持った母親が子供を育てるには、
岸本加世子のような母親のサポートが不可欠でもある。そういう環境は、めったにないだろう。
けれども、「柚子、がんばれ!」と毎回応援したくなるドラマだった。
何というか……大げさかもしれないが、「生きる希望」のようなものをもらえるドラマだった。
月並みだが、子育てや家族関係でいちばん大切なことは、障害のあるなしではなく、
どれだけ愛することができるか――ということだと思う。
このドラマは、そのことに気づかせてくれる。
子供だけでなく、親も兄弟も夫婦も、相手をどれだけ大切に思えるかどうかで
難しいことも何とかなっていくものだ。
「現実はそうではない」という反論もあるだろうが、
私はこのドラマがたとえ「絵空事」であろうとも、高く評価したいと思う。