今回のテーマは「結婚」「幸せ」ということだろうか。
知的障害があろうとなかろうと、普通に結婚して幸せに暮らしたいという思いは変わりはない。しかし、この巻では、現実的にはまだまだそういうことには偏見があるということを思い知らされる。
柚子がこの後、障害のある男性と恋愛すると言うことは、つまり、再婚につながっていく可能性があるということを意味する。それはもしかしたら柚子にとって幸せになる一つの選択肢かもしれない。
しかし、ひまわりはどう思うのだろう。父親になってくれる男性が現れることは、ひまわりにとってどうなのだろう。
これまで母である柚子には知的障害があること、もう自分には父親がいないこと、死んだ父親=草介にも知的障害があったことを彼女なりに何とか一生懸命受け止めて生きてきた。これだけでもひまわりが抱え込んできたものは大きなものだったのに、柚子が再婚するとなると、どういう思いを抱くのだろうか。ひまわりにとって、また試練となるかも知れない。
因みに安西さんの恋愛関係の話も少しずつ進んでいるようだが、これには夏梅の「安西さんがいなくなっても大丈夫な支援体制にしなければならない」という言葉が重くのしかかっている。夏梅の言葉に、プロの支援スタッフである安西さんが納得させられる場面は初めてであるが、これは夏梅が彼女なりに、知的障害への支援と、支援スタッフ個人の幸せとを深く考えられるようになったからこそであろう。この場面は後々の物語の展開の大きなキーポイントとなるかも知れない。
末尾になるが、巻末に作者と担当さんとの対談が載っている。初めてこの漫画を読む人にとっては、いい参考になるかも知れない。
それにしても、「幸せ」って何だろう? 柚子にとって、ひまわりにとって、そして安西さんにとって。深く考えさせられる巻ではある。