三田村奈津美・28歳。転職に成功し、仕事に生きる勝気な女性。別にそうは
見えないし、誰も知らない事だけれど、彼氏いない歴と年齢が一緒の処女である。
だけど、奈津美にとってそれはコンプレックスではないし、気にしたり悩んだり
していない。恋愛をしない人生に疑問も不満もなく、日々を自分なりに充実させて
生きているつもりだから。
ところが、ある日を境に、会社のサークルに加わりそこで恋が勃発したり、
お見合い相手のタイプじゃない男性も優しくしてくれるし、なんだか、
モテ期らしきものが来てしまったようで・・・
恋の修行をしないまま大人になった女性が、不器用にもがきながら
仕事に恋愛に体当たりでぶつかっていく痛快成長小説!
最初の方は、ヒロインが勝ち気を越えてなんだかガサツでかわいげがなさすぎて、
なかなか好きになれないタイプだったのだけど、お見合いやサークル活動を通して、
また、後輩女子にかわいいメイクや服を伝授されて外見をブラッシュアップした
結果として、素直に「女の人」として花開いていくあたりから物語は面白くなる。
まじめに受験勉強をし、いい会社に入り立派に働いて来た奈津美は、
職場では管理職候補のエリートだけれど、恋愛や人間関係については
どちらかというとオクテというか、不器用で要領が悪く、言い寄るウザい
男をさらっと受け流したり、意地悪な女の子に適当に愛想良くして
無難にその場を取り繕ったりが苦手。それゆえに、失敗もする。
だけど、そのたびに「思春期を(勉強などで)棒に振ったぶん、今、
取り戻してる」とどこか満足感や誇らしさを抱く前向きさがいい。
まるで新しい仕事をもらったかのように、恋愛にも人間関係のトラブルにも
まじめに取り組む彼女が読んでいてだんだん好きになる。今を生きる
女の子の生き様を描いたという意味では、安野モヨコの「ハッピー・マニア」
あたりにも通じる愉快な小説だ。