最近、このアニメがテレビシリーズになるとかで、たまたま、このOVA版がインターネット無料配信されているのを見かけて気に入ってしまい購入。
ゆったり、まったりした、ごく普通の日常の雰囲気の中で、写真撮影が大好きな高校一年生「沢渡楓」と友人達の間で起きる、ちょっとした出来事や感動にスポットを当てる。
個人的には、楓が使っているカメラが非常に珍しいものであることに気付いてびっくり。
ローライ35Sとは・・・、楓の父親はそうとう写真好きだったという設定か。
年齢的に考えて楓の父親は生きていても、せいぜい40代だと思うので、普通このカメラは手に入れない。
このカメラは機構を簡略化した結果、ピント合わせは、はっきり言って目測するしかないという結構困ったカメラである。
もちろん、デジカメではないので、ピントが合っているかどうかはフィルムを現像しないと分からない。
アニメの中で、楓が写真を取る場面で、彼女は被写体との距離を合わせるためにカメラのフォーカスに頼らず、自分自身が移動しては転んだり、橋から落ちそうになったりしている。
この彼女の行動は、周り友人達からも笑われたりする、楓ならではの少し天然な一面を強調しているのだが、実はこの行動自体、楓のカメラにフォーカス機能が存在しないことに由来している。彼女自身は実はボケてやっているわけではないのだ。
被写体になっている「ももねこさま」を、カメラを構えたまま追っかけていき、転んだりするのも同じ理由だったりする。
楓がマエストロと慕っている写真屋の叔父さんが、女子大生達と会話している場面での会話内容も写真に詳しくないと分からないような会話になっていて、実はこの監督、この写真好きの少女を描くために随分研究したんだろうなと、影ながらの努力に感心してしまう。
ちなみに題名にもなっている写真に写りこむ光の玉「たまゆら」は、通常、写真の世界ではオーブ現象と呼ばれるもの。
デジカメが普及してからオートフラッシュの影響か、割りと発生しやすくなったと聞くが、楓の使っているフィルムカメラの時代では、めったに起きない現象だったので、オーブ(つまり、たまゆら)が写ると縁起が良いなんていう、ある意味、茶柱的存在だった。
とはいえ、あの写真屋さんに飾られている楓が父親を撮った写真は、「たまゆら写り過ぎじゃないの?」と苦笑してしまうレベルで写ってる。
もちろん、楓の父親への思いの象徴として描いているのだろうから、現実的に受け取る必要は無い。
しかし、ここまで詳しく写真について研究したらしい監督が、写真に詳しい人が見たら「普通、晴れた昼の屋外で撮影して、あんなにオーブが写ってたらカメラが結露したか、埃でも入ったとしか思えない」と考えることを想定できないとは思えない。
基本、ほんわか感動アニメなのに、分かる人にしか分からないような、妙に細かい所にもちょっとしたこだわりを入れるのがこの監督の流儀なのかも知れない。
まあ、そんな写真に関する細かい背景なんて全く知らなくても、普通にゆるく笑えて楽しめて感動できるアニメなので、これを読んで買い控えようとか思う必要はない。
単に知っていれば、そんな裏話的なことでも笑えるというだけで、知らなくても本編の内容だけで十分楽しめる作品である。
ちなみに楓の親友、塙かおるが「かおたん」と呼ばれることを嫌っている理由は、別売りの「OVAたまゆら ドラマCDたまゆらじおどらまぷらす」を聞くと分かるようになっている。これ自体、微笑ましい理由なのだが、ここで言うのは反則なので知りたい人はドラマCDを聞いてください。