ほぼ小泉政権時代と重なった、エッセイ集。当初の意図としては、新聞の片隅の時事ネタをひろって論じていこうというのがあったようだが、後半になればなるほど、日本国憲法、教育基本法などの「大ネタ」が多くなっていく。
あるいみ斜に構えたシニカルな視点が、斎藤美奈子の持ち味のひとつだとおもうが、これも後半になればなるほど、そんな余裕がなくなっていく感じがする。
小泉政権は、戦後自民党政治のなかでほぼ唯一といっていい、ポピュリズム政治だった。圧倒的世論をうけて、様々な戦後民主主義を覆すような政治改革が行なわれていったわけだが、そこで、シニカルな批判的視点を発揮するのがどれだけ難しいか、そのことを本書全体が、あらわしているようにも思える。又逆に言えば、より正面からの批判的言説があまりにもメディアなどでないから、斎藤美奈子が書かざるをえない、のかもしれない。いずれにしろ、不幸な状況だ。