戦争の大きなうねりに二十代からの三十年を捧げ、
常に死と向かい合わせに極限状態を生きた男の記録。
任務解除命令が届かない中「お国のため」を信じて活動を続けてきた。
帰国後、一部では「軍国主義」などと言われたというが、
この人が真摯に誠実に行動を続けてきたことに疑いの余地はない。
それは目の前で仲間に死なれ、死に水もとってやれなかったという
無念さに支えられている。
ジャングルの自然を相手に生き抜く様子を知るだけでも興味深い。
添えられた数々の写真、特につぎはぎだらけで改造された服には
感慨深いものがある。
著者の言葉を引用する。
戦前、人々は「命を惜しむな」と教えられ、死を覚悟して生きた。
戦後、日本人は「命を惜しまなければいけない」時代になった。
何か命がけでやることを否定してしまった。
覚悟をしないで生きられる時代は、いい時代である。
だが死を意識しないことで、
「生きる」ことをおろそかにしてしまってはいないだろうか。