定年まで勤め上げるということは想像以上に大変なことですし、本人は勤めたいと思っても職場の事情で適わないこともあります。目指す生き方を模索すべく早期退職して別の人生を歩み出す人もいます。
本書は、そんな企業を早期退職した、もしくは退職を余儀無くされた40代後半から50代後半までの数十人のサラリーマンを取り上げてその経緯とその後の生き様について丁寧にルポしたものです。他の職業事情を知ることはあまりありませんし、書かれている現実の厳しさは他人事ではありません。衿を正して読んだというのが正直な感想です。
本書に登場するサラリーマンの方は、三井物産、コスモ証券、モービル石油、住友化学工業、ノースウエスト航空、日本アイ・ビー・エム、出光興産、東芝EMI、山一証券、松下電器、日商岩井、東海銀行、日本旅行、日新火災海上保険、富士通、NTT、東芝、三菱電機、シャープ、キヤノン、という日本を代表する企業に勤めていた方です。
それぞれの企業の置かれている状況の厳しさも理解できる本となっています。なお、文庫化にあたり追加してその後を描いています。本文の記載は今からみるといささか古い情報になっていますが、その後の追加でよりはっきりとその足跡を辿れるようになったのは読者にとって良かったと思います。
一生涯何らかの仕事に就いて働きたいという人もいるでしょうし、趣味を極めて本職としたいという人もいるでしょう。そんな方は、本書を手に取ってじっくりと考えてみるのも悪くはありません。社会的責任が重くなる50代は、ある意味で人生の正念場と言えるでしょう。それをいかに乗りきるのか、また退職して第2の人生の歩み方はいかに、というのを擬似体験してみるのも大切なことかもしれません。