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そんな彼に上意討ちの討手の役がひそかに舞い込む。実は彼は若い頃は藩内でも一,二を争う剣の腕前。夕方の城中での上意討ちが刻々と迫る中、愛する女房の下がもれてないか気が気でたまらぬ。が、そこは主人公、相手を鮮やかな腕で始末した後、いそいで女房の下の世話へと急ぐのだった・・。
表題作を始め、どの短編もいじらしく人間くさい主人公と、普段は見せぬがいざというときに出てくるあざやかな剣さばきの対比が素晴らしい。作者が晩年にその胸中に達したといわれるユーモアとペーソスをさわやかに織り成しながら、剣客小説としての凄絶さも失われない、まことにバランスのとれた稀有な傑作だと思う。あらゆる人に推薦。
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